2009年2月15日(日)「しんぶん赤旗」

キヤノン工場 巨額の随意契約

大分 不透明さ浮き彫りに


 キヤノン工場建設をめぐる裏金脱税事件に絡み、大分県土地開発公社が工場用地の造成工事で、大手ゼネコン「鹿島」に随意契約で請け負わせた経緯の不透明ぶりが改めて問題になっています。

 キヤノンの子会社「大分キヤノン」「大分キヤノンマテリアル」の二社は、それぞれ二〇〇三年と〇五年に大分市への工場立地を表明。総額八十億円にのぼる工場用地造成は、公社がすべて随意契約で鹿島に発注しています。

 地方自治法では、一般競争入札が原則で、随意契約できるのは、緊急を要するなど例外的な場合のみです。大分県の土地開発公社も県の契約事務規約に準ずることになっており、入札予定価格が二百五十万円を超える事業は原則競争入札です。公社の巨額の随意契約は極めて異例でした。

 その背景が推察できる文書を公社は〇七年十二月、日本共産党の堤栄三県議の要求で提出しました。文書は、工事契約前にキヤノンの常務取締役総務本部長が公社理事長にあてたもの。「是非とも今回の造成工事については、鹿島建設株式会社を選定していただきたく…特段の御配慮、御英断を賜りますようよろしくお願い申し上げます」と事実上、鹿島と随意契約を結ぶことを求めています。

 事件後、契約の経緯について県は「当時の県出納長が、鹿島と随意契約を結ぶ方針を電話で伝え、意見を求めた」と説明。キヤノンは「推薦文書は公社側から依頼された」としていますが、真相は不透明なままです。

 脱税事件で逮捕されたコンサルタント会社「大光」社長の大賀規久容疑者は、鹿島から巨額の裏金を受け取っていました。それらを原資とした「工作資金」が契約をゆがめていなかったかどうか、徹底した解明が求められています。 (森近茂樹)


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