2009年2月6日(金)「しんぶん赤旗」

主張

道州制策動

許されない「究極の構造改革」


 金融危機と深刻な不況のもとで、小泉「構造改革」路線の破たんはいまやだれの目にも明らかです。

 ところが、こうした情勢にまったく逆行して、財界と自民・公明の政府は、「究極の構造改革」と位置づける「道州制導入」の策動を加速しています。

地方自治破壊の「改革」

 日本経団連は、〇七年三月に発表した「道州制の導入に向けた第一次提言―究極の構造改革を目指して」に続き、昨年十一月に「第二次提言」をまとめました。各地で道州制導入のシンポジウムなども開いています。

 麻生内閣も一月三十一日に宇都宮市で、鳩山邦夫道州制担当相(総務相)が出席して、道州制をテーマに「国民対話集会」を開きました。それに先立ち二十六日には、同相の私的懇談会である道州制ビジョン懇談会の座長が呼びかけ、国民運動を組織するための「国民協議会」なるものを発足させています。

 日本経団連が「究極の構造改革」とたたえる道州制は、文字通り、破たんした小泉「構造改革」路線を、「地方分権」の名で大々的に強行するものにほかなりません。

 道州制の導入は、単に「都道府県の再編」ではありません。日本経団連の「第二次提言」が明記しているように、道州制のねらいは、「官の役割をゼロベースで見直し」、「小さな政府、民主導の経済社会」めざして、「規制改革の推進や官業の民間開放…を徹底する」ことです。

 道州制は、国の仕事を外交・軍事・司法などに限定し、社会保障や福祉などの行政サービスは地方に押しつけ、自立自助の名で住民負担に切り替えることで、自治体を財界・大企業のための開発政策や産業政策の道具に変えてしまおうというものです。憲法の地方自治の原則は根底から破壊されてしまうことは明らかです。

 日本経団連の「提言」では、道州制導入の効果を国民の目に見えるような形で示すとして、道州制導入による「行財政改革」で五兆八千四百八十三億円削減できるという試算をしています。地域住民に密着した福祉、医療、教育、農業、地場産業、環境などのサービスを切り捨て、地方公務員を削減する「構造改革」の“効果”を自ら示したものです。

 地方自治体の本来の役割は、「住民の福祉と暮らしを守る」ことです。住民の多様な要求にきめ細かくこたえ、住民に身近で、住民が直接参加して意思決定できる制度でこそ、地方自治は成り立ちます。

 金融危機・不況の影響が地方経済を襲っているもとで、道州制の導入は、住民の暮らしや地方経済をますます衰退させていくことにしかなりません。

導入策動にストップを

 自公政府・与党は、道州制への移行時期などを明記する基本法案の国会提出をめざしており、麻生首相自身、今国会の本会議答弁で、「道州制基本法の制定に向け、検討機関を設置して作業を進めたい」と述べています。

 「新自由主義」が世界的に破たんし、小泉「構造改革」路線への批判が国民の多数派になりつつあるもとで、「究極の構造改革」をめざす道州制構想の反動的ねらいを暴露し、道州制導入の策動にストップをかける課題が急務になっています。


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