2009年1月31日(土)「しんぶん赤旗」

NTT奥村過労死差し戻し審

賠償減額の不当判決

札幌高裁


 夫の過労死はNTTの責任だと遺族が損害賠償を求めているNTT東日本社員・故奥村喜勝さん過労死訴訟の差し戻し控訴審が三十日、札幌高裁でありました。末永進裁判長は、NTTの大リストラと過労死との関係を認めない不当判決を出しました。

 判決は、会社側の安全配慮義務違反は認めたものの、大リストラと精神的ストレスとの関係を認めず、遺族の奥村節子さん(62)と息子の奥村耕一さん(33)が求めた損害賠償額の三割のみ認定しました。

 裁判後の報告集会で節子さんは、「この六年間は長い道のりでした。勝利を願ってこの日を迎えたのに、残念です。命の値段がこんなに削られてしまうとは、本当に悔しい」と声を強めました。

 NTT東日本は十一万人もの大リストラ計画を二〇〇二年二月に強行。通信労組員の喜勝さんは、地域子会社へ行くことを拒み東日本に残る道を選択。これに対しNTTが命じた宿泊研修中の休日(〇二年六月上旬)に急性心筋虚血で亡くなりました。当時五十八歳でした。心臓に病気を抱えていた喜勝さんを会社は「宿泊出張はさせない」という内容の健康管理規定「要注意(C)」に認定していました。

 一審の札幌地裁で原告勝利、二審の札幌高裁も研修に参加させたNTT側の安全配慮義務違反を認め、六千六百二十八万円の損害賠償を命じました。会社側は上告。最高裁は損害賠償額について札幌高裁に差し戻し、審理が続いていました。



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