2009年1月30日(金)「しんぶん赤旗」

2つの世界フォーラム開催

経済危機打開・新たな世界探る


 スイスの保養地ダボスで二十八日、「世界経済フォーラム」(ダボス会議)が始まりました。また、二十七日からはブラジル北東部の都市ベレンで世界社会フォーラムが開かれています。米型カジノ資本主義の崩壊で世界経済危機がいっそうの深まりをみせるなかでの論議が注目されています。


ダボス会議

 ダボス会議は、一九七一年以来、毎年この時期に開かれているもの。ことしも世界のビジネス界のリーダーや政治家、学者、専門家など九十六カ国から二千五百人が参加する見込みです。ことしのテーマは「危機後の世界の形成」です。

 昨年まで議論を主導したのは、新自由主義とカジノ資本主義を推進した人たち。昨年秋に破綻(はたん)した米巨大投資銀行リーマン・ブラザーズのファルド会長らは毎年のように参加する常連で、金融資本主義の効用を自賛し、唱導していました。

 それだけにフォーラムは「いまの経済危機をつくった人たちの会議」との批判が強く、世界の金融資本主義のトップたちが招待者リストからはずされました。代わりに今回は中国の温家宝首相やロシアのプーチン首相が中心的な招待者になっています。

 温家宝首相は二十八日の講演で、世界的な金融危機の原因として、名指しを避けながらも米国の責任に言及しました。

 中国メディアによると、同首相は「金融機関が行きすぎた利潤追求を続け、自律性を失った。金融の管理と刷新が整合性を欠いた。金融派生商品がはびこった」と指摘しました。

 その上で、危機打開のために新しい金融秩序を早期に構築すべきだと提起。金融監督で国際協力を強化し、金融リスクの蓄積と拡散を防止する必要性があると強調しました。

 主催者のシュワブ会長は、今回の会議を前に、現在の経済危機の多面的な分析とそれからの脱出、新しい経済・金融システムの再建のほか、資本の管理や企業の社会的責任、経営者のモラルなど「資本主義の信頼の回復」が大きなテーマになると述べています。

世界社会フォーラム

 世界社会フォーラムはダボス会議に対抗し、世界のNGOや社会運動団体、学者、専門家が集まって二〇〇一年以来開いているもの。戦争や貧困、農業や環境問題まで幅広いテーマをとりあげ、米型資本主義や新自由主義の押し付けに反対し、それに代わる新しい社会改革の道を求めて討論してきました。

 今度の会議では主催国ブラジルのルラ大統領のほか、ベネズエラのチャベス大統領、エクアドルのコレア大統領、ボリビアのモラレス大統領が演説する予定です。

 フォーラムでは、世界経済危機のツケを発展途上国に押し付ける試みに反対し、公正な世界経済秩序の構築にむけてどう運動をするかが大きなテーマです。

 同時に、新自由主義に代わる新しいモデルとしてケインズ主義の復活やその応用の道をどうみるのか、資本主義の枠を超えた新しい経済社会のあり方の現実的な可能性や、今後の運動や組織の進め方についての幅広い討論が注目されています。


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