2009年1月22日(木)「しんぶん赤旗」

主張

オバマ新大統領就任

アメリカをどう変えるのか


 アメリカでオバマ新大統領が就任しました。厳寒のもと、就任式には国の内外から二百万人もの人びとが集まり、「オ、バ、マ」の呼び声に期待感を込めました。

 就任演説でオバマ氏は、「世界は変わった。私たちも変わらなければならない」とのべました。

 問題はオバマ大統領がアメリカをどう変えるのか、です。

時代の変化は鮮明

 かつてない政治的、経済的危機に直面するなか、オバマ大統領は初のアフリカ系(黒人)大統領として就任しました。オバマ氏は、「その男の父親は、六十年足らず前ならば、地方のレストランで給仕を受けることができなかったかもしれない」と、自らの大統領就任の意義を語りました。「万人が平等かつ自由であり、最大限の幸福を追求するチャンスがある」と融和の理念を打ち出したことに、涙する聴衆もいたといいます。

 経済再建にあたって、米国型経済が絶対的な信頼をおいてきた「市場」は「監視がなければ抑制がきかなくなる」と指摘し、従来の金持ち優遇政策を批判するなど、新自由主義的な経済政策に一線を画す立場を強調しました。

 核兵器の廃絶や地球温暖化の阻止、テロ問題とその温床である貧困や不正の解決など、世界が直面する問題は広範な国際協力なしに解決できません。それを妨げてきたのが、国連憲章を踏みにじってまでアメリカの特異な立場を世界に押し付けたブッシュ前政権の一国覇権主義でした。その姿勢を、オバマ大統領が根本的に転換することを、世界は期待しています。

 大統領は演説で、世界との関係を変えると表明しました。「さらなる努力と国際協力・理解を必要とする新たな脅威に立ち向かうことができる」とし、イラクからの米軍撤退の開始、アフガニスタンでの平和、核軍縮、地球温暖化への対処などを課題にあげました。

 とりわけ「米国が新たな平和の時代を導く役割を果たさなければならない」とし、イスラム世界との間に相互の利益と尊敬に立った新たな関係を築く考えを示したことや、貧困の解決を誓ったことは注目されます。

 オバマ大統領は、「理想主義」に距離を置く「現実主義者」といわれる顔ものぞかせています。米国は「暴力と憎悪のネットワークとの戦争の中にある」とのべました。ブッシュ政権が打ち出した「対テロ戦争」の考えには、同盟国イギリスのミリバンド外相すら厳しい批判を行ったばかりです。テロ問題を軍事力で解決できないことは、アフガンの事態が何より示していることです。米国が力の政策を維持しようとするなら、時代が求める国際共同に新たな障害をもたらしかねません。

支配・従属の関係脱却を

 オバマ氏の就任演説に日米関係への直接的な言及はありません。しかし、オバマ政権が真に国際的な共同を進める立場に立つなら、日米関係でも旧来の支配と従属の関係を脱却し、米軍再編や海外派兵などの押し付けをやめることが避けられません。

 麻生太郎首相は、日米両国を「普遍的利益と戦略的利益を共有する同盟国」とし、同盟強化に力を尽くすとのべました。同盟強化にあくまでしがみつく自公政権の姿勢はいよいよ時代の変化に取り残されることになります。


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