2009年1月20日(火)「しんぶん赤旗」

主張

ゼネコン裏金

政官業癒着の根幹に切り込め


 準大手ゼネコンの西松建設が、海外の事業活動で捻出(ねんしゅつ)した裏金を日本に持ち込み、受注工作や政界工作に使っていた疑惑で、当時の副社長などが逮捕されました。裏金の総額は十億円以上にものぼるといわれます。

 ゼネコンをめぐってはこれまでも、一九九三―九四年のゼネコン汚職をはじめ、たびたび疑惑が指摘されてきました。業界最大手の鹿島をめぐってもキヤノンの発注工事をめぐる裏金の疑惑が指摘されています。疑惑を徹底して究明し、政官業の癒着の根幹にメスを入れるべきです。

裏金の使途徹底解明を

 外為法違反容疑などで経営トップにまで捜査の手が及んだ西松建設の裏金問題では、海外の事業活動で裏金を捻出し、現金で日本に持ち込んだという手法の目新しさが注目されています。問題は何のために裏金を使ったのかです。

 西松建設は、東南アジアなどで受注した事業の経費を水増しして、裏金を捻出したといわれます。疑われるのは、その受注そのものに不正はなかったのかということです。西松建設はタイのバンコクでバンコク都庁が発注した公共工事を受注しています。タイ下院の汚職防止委員会は、西松建設から都庁幹部に総額約四億円のわいろが提供された疑いが濃いとの報告書をまとめています。外国公務員へのわいろは日本の法律にも違反する犯罪であり、西松建設がそこからも裏金を捻出していたとすれば、タイ国民の税金を食い物にする国際的犯罪行為です。

 もちろん西松建設が外為法に違反して裏金を国内に持ち込んだのは、国内でも使うためです。西松建設は原子力発電所の関連工事に受注先を広げ注目されていましたが、その受注に影響力があると見られる企業にも裏金が回っていた疑惑があります。原子力関連工事の発注側は電力会社や電機メーカーであり、西松建設がどのようにして原発利権にかかわったのか、徹底究明が不可欠です。

 もともとゼネコンの活動は、国や地方の公共工事を通じ、国・自治体の官僚や政治家と深い結びつきがあります。かつてのゼネコン汚職や官製談合では、政治家や地方の首長が相次いで逮捕されました。日本の政府開発援助(ODA)が絡むことが多い海外での事業や原発関連工事も、政治家とのかかわりが取りざたされます。

 見過ごせないのは、西松建設の関係者が最近まで二つの政治団体を運営し、自民、民主の国会議員らに五億円近い献金を続けていた事実です。禁止されている政治家個人への企業献金を続けるため、西松建設自身が二つの政治団体をダミーに使っていた疑いは濃く、裏金が使われたのではないかと疑われるのは当然です。献金を受け取った政治家の責任を含め、政官業癒着の疑惑解明は欠かせません。

企業献金の全面禁止を

 ゼネコンをめぐる疑惑があとを絶たないのは、必要のない大型公共事業や海外への開発援助のバラマキなどが繰り返されているためです。こうした無駄遣いにメスを入れやめさせるのは当然です。

 政官業の癒着の温床となっているのは企業献金です。西松建設から献金を受け取っていた政党・政治家に自ら疑惑にこたえさせるとともに、企業献金全面禁止に踏み出すことが急務です。


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