2009年1月19日(月)「しんぶん赤旗」

「派遣村どこ」

所持金つきた青年から電話 本紙編集局

国の責任で避難所を


 仕事と住居を奪われた人たちの年末年始の命綱となった「年越し派遣村」。東京都千代田区の日比谷公園の緊急避難所を撤収してからも、「派遣村」を頼って来る人が後を絶ちません。

 「わけあって家がないんです。派遣村を訪ねて日本青年館に来ましたが、もういませんでした。派遣村はどこにあるのでしょうか」。十六日午後七時、本紙編集局に、男性(27)から電話がありました。携帯電話を持っておらず、電話帳で「しんぶん赤旗」の連絡先を調べ、公衆電話からだといいます。

 「派遣村」実行委員会に連絡を取り、男性とともに「派遣村」が確保している旅館に向かいました。旅館では、スタッフが男性の相談に応じました。

 男性は横浜市で暮らしていました。父子家庭で、三年前に父が亡くなり、コンビニのアルバイトや日雇い派遣で働き、アパートの家賃を払っていました。

 家賃を払いきれず、一年半前、ホームレスとなりました。ネットカフェなどに寝泊まりしましたが、所持金がつき、野宿になりました。

 「ぜんそくがあるんです。寒い季節は、野外で寝られないから、夜の間、ずっと歩き回りました」

 「派遣村」が仕事と住居を奪われた人の生活相談を行っていると知り、移動先を探し歩いてきたのでした。この三日間は飲まず食わずでした。

 これまでにも、区役所に相談に行ったことがありました。「若いからと、相手にしてもらえませんでした」

 都内で自民党の事務所を見つけ、相談に駆け込みましたが、ひどい言葉であしらわれたといいます。「頭が真っ白になって…」。言葉を詰まらせます。

 厚労省の調査だけでも、「派遣切り」など非正規労働者の解雇・雇い止めで、三月までに職を失う非正規労働者が八万五千人にのぼります。「派遣村」にたどり着き、助けを求めることができた五百人は、そうした人たちのごく一部です。

 「派遣村」実行委員会は、政府の責任で全国に一時避難所や総合相談窓口をつくるべきだと提起しています。(田代正則)



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