2009年1月18日(日)「しんぶん赤旗」

「派遣村」の連帯 行政動かす

雇用危機打開 政治の責任で

CS番組 小池政策委員長が語る


写真

(写真)「政治学原論」に出演する小池晃政策委員長(CSテレビ「朝日ニュースター」から)

 日本共産党の小池晃政策委員長は十七日放映のCS放送朝日ニュースターの番組「政治学原論」に出演し、「年越し派遣村」で医師として活動した経験や雇用危機の打開策について早野透・朝日新聞編集委員とアナウンサーの小池文美さんのインタビューに答えました。

 「お正月、最大の出来事は派遣村だった」ときりだした早野氏。「派遣村で、聴診器を持って歩いている小池さんに会った」と紹介しました。

財界・大企業の非道はっきり

 小池氏は、医療ボランティアをする中で、「派遣切り」のショックで記憶をなくした若者、重症の結核、三日三晩食事抜きでめまいを訴える人がいたことを報告。「(多くは)医療というより、温かい食事と寝床が必要な方たち。それすら政治が提供できないのかと、本当に切ない思いでした」と語り、「公的な責任で、最低、衣食住、それから仕事を見つける努力を応援する。全国で大規模にやらなければならない」と訴えました。

 派遣村の評価を聞かれた小池氏は、「連帯の温かさ、労働者のエネルギーはすばらしいと思いました。労働者派遣法見直しに労働団体が取り組む運動の盛り上がりの中での派遣村でした。ボランティアやカンパを寄せた多くの国民の、何とかしたいというエネルギーが、厚労省に講堂をあけさせ、行政の重い扉をこじ開けました」。

  早野 労働組合の垣根を越えた、これまでにない風景でした。

  小池 唯一ここにいないのは日本経団連だなと思いました。「派遣切り」した当の大企業の姿がまったくない。ああいう人間的連帯の前に、財界・大企業がやっていることの非道がはっきりしたと感じますね。

 派遣村の関連で、生活保護などのセーフティーネットが話題となり、小池氏は、従来の生活保護行政の見直しとともに、「とにかくそこに行けば衣食住が保障され、生活保護でも失業給付でも医療でも、一元的に相談できる派遣村のようなものを、全国で緊急に行政がやるべきだ」と訴えました。

 話は、なぜこうした事態が起きたのかに進みました。

「瞬間的首切り」可能にした政治

 小池氏は、今回の雇用危機の特徴は「瞬間的首切り」が起きていることだと指摘。それを可能にしたのが一九九九年の派遣労働の原則自由化と二〇〇三年の製造業への解禁という法改悪だったとして、「人間を部品や原材料のように必要なときだけ調達するやり方を可能にした政治の責任は大きい」と述べました。

  早野 小池さんに聞くのも変ですが、なぜ共産党以外は原則自由化に賛成したのか。

  小池 「自由な働き方だ」と宣伝されていた。しかし私たちは当時から、正社員が派遣に置き換えられるといってきた。財界の戦略は、すでに明確でしたから。

 小池氏は、「これは政治災害。だから政治の責任で解決すべきだ」と、いま必要な二点を提起。一つは、「派遣切り」などを許さない緊急の立法措置をとること、二つ目は、労働者派遣法を九九年以前に戻す抜本改正で、「両方を同時にやることが重要だ」と強調しました。

 早野氏は、「そうはいっても、経営の論理からすればどうなのか」とたずねました。

株主配当だけ増 異常な資本主義

 小池氏は、「史上空前の利益をあげてきながら、正社員の給料も減らし、株主への配当だけ増やすのは、資本主義としても異常だ」と主張しました。

  小池 いすゞに、配当を減らせないのかと言ったんです。そしたら「株主への約束ですから」という。ちょっと待ってくれ。雇用契約は労働者との約束だろう、と。

  早野 車もカメラも労働者に売れなければもたない。

  小池 労働者にお金を還元しないと企業も存立の条件が危うくなる。先日、志位和夫委員長が日本経団連にそれを指摘しました。一番こたえたようです。

  早野 理屈としてすばらしいからだな。ところでトヨタや日本経団連は、よく共産党と会いましたね。

  小池 日本経済に大企業が果たす役割を大局的に考えてもらわないといけない。共産党はむちゃなことを言っているのではなく、そういう立場で言うので聞いてもらえたと思います。

  早野 確かにそうかもしれない。昔は経団連というと、もう少し経営のあり方に重みのある意見をいう人がいたように思うが、アメリカの資本主義、株主重視が輸入されてしまった気がする。

  小池 株主配当ばかりで業績を判断するようになった。アメリカ型の影響があります。

派遣法を改正し99年以前に戻せ

 早野氏は、今国会での派遣法改正の見通しをたずねました。

 小池氏は「見通しは大いにある」と述べ、極めて不十分とはいえ、政府も派遣法改正案を出し、舛添要一厚生労働相も製造業派遣の規制に前向きな発言をしていると指摘。日本共産党、社民党、国民新党は九九年以前に戻すことで足並みがそろい、民主党も派遣村の取り組みを通じて変わってきていると語り、「(野党協議で)製造業への派遣禁止にとどまらず、九九年前に戻すようにまとめたい」と述べました。

 アナウンサーの小池文美さんは、「派遣をなくして、不況の中で新たな雇用は生まれるでしょうか」とたずねました。

 小池氏は「長い目でみれば雇用を安定させるほうが企業活動にとってもプラスで、そうした方向に、政治が法律で規制をかけてもっていけばいい」と答えました。

 また、今年三月末に向け製造業で大量の「雇い止め」が発生しかねない二〇〇九年問題で、小池氏は、「『派遣切り』されようとしている人たちは、偽装請負という違法状態が明らかになり、本来そこで正社員になるべきだった人。だから正規雇用にしなければならない」と指摘。

 「『痛みに耐えて頑張れ』という言葉を、私はいまこそ日本の名だたる大企業にいいたい」と述べました。

  小池アナ 私たち市民はこれまで散々痛みに耐えてきたわけですからね。

  小池 こんどは、いままでおいしい思いをしてきた人たち(大企業)に痛みに耐えて頑張ってほしいですよ。



■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp