2009年1月17日(土)「しんぶん赤旗」

蛮行 許しがたい

イスラエルの国連施設空爆 国連スタッフら非難


 【カイロ=松本眞志】パレスチナのガザ地区で活動する国連スタッフは十五日、イスラエル軍が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)やパレスチナ赤新月社の施設、病院三カ所を空爆した直後、イスラエル軍の行為が故意だった可能性があると指摘しました。

 潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が同日イスラエルを訪れ、同軍の蛮行に「憤慨」を表明した際、オルメルト首相は「(隠れていた武装民兵が)施設内から攻撃をかけてきたのは確実だ。残念な結果に対して謝罪する」と弁明しました。

 イスラエル側の釈明に対し、UNRWAのクリストファー・グネス報道官は「イスラエル当局から武装民兵に関する問い合わせはなかった。われわれは民兵の行為に常に反対してきたし、彼らは施設内になどいなかった。いまイスラエル政府は、国連施設付近に武装民兵がいたという話にすり替えている」と告発しました。

 欧州委員会のルイ・ミシェル開発・人道援助担当委員も国連施設の空爆に対し、「深い衝撃を受けた」と驚き、「イスラエル軍によるガザ地区の国連事務所攻撃は許しがたい行為だ」と訴えました。

 UNRWAのガザ地区を担当するジョン・ギング部長は、イスラエル軍が残虐兵器である白リン弾を多用しているとされることに言及。白リン弾が放つ炎に水をかけた場合、強い毒性ガスが発生するために消火活動が困難をきわめていると語りました。UNRWAのガザ地区本部攻撃も白リン弾を使った疑いが浮上しています。

 UNRWAのアドナン・アブハスナ報道官は、国連施設への空爆で数千万ドル(数十億円)に相当する支援物資が消失・破壊されたと述べました。


 UNRWA 国連の下部組織で、パレスチナ自治区(ヨルダン川西岸とガザ)、レバノン、ヨルダン、シリアに住む約四百六十万人のパレスチナ難民に、教育、医療などの社会的支援をしており、難民の命綱となっています。


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