2008年12月30日(火)「しんぶん赤旗」

陸自隊員が全裸「儀式」

福島の演習場 撤収を見送り


 陸上自衛隊勝田駐屯地(茨城県ひたちなか市)の施設教導隊が、福島県の布引山演習場での演習終了後、隊員の一部が全裸で撤収車両を見送るという反社会的な「儀式」を行っていたことが二十九日までに分かりました。

 「儀式」は今夏の七月二十日午後八時すぎ。布引山演習場の正面入り口付近に隊員ら数十人が集合。中にはマットを手にした隊員も。演習場奥の駐車場で大型車両などがいっせいにライトアップし、移動を開始しました。

 エンジン音が近づいたときでした。数人の隊員が上着やズボン、下着を脱ぎ始めました。車両が門前に接近すると、全裸の隊員らが車両に向けて両手を振り、持参したマットの上でポーズをつくるパフォーマンスをくり返しました。

 本紙の問い合わせに防衛省は「施設学校の約三十人が布引山演習場の出口付近で教育の終了にともなって、さきに帰る部隊を見送る際に、施設教導隊の六人が下着のパンツのみをつけて見送りをしたようだ」と説明。「儀式」について、「勤務時間外の自発的な悪ふざけの行為であって、学校の儀式として行ったものではない」としました。

 元陸自隊員は「教官や、古参隊員による新隊員への半強制的なもので、一種のいじめだ」と指摘しています。


解説

危険な性的無軌道

セクハラ・いじめ体質

 門衛こそいませんが、自衛隊施設のいわば玄関口で起きた不祥事です。自衛隊員の集団による不適切な行為が許される場ではありません。

 想起されるのは、海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」での異動する隊員を死に追いやった「集団リンチ」事件です。自衛隊は「自発的な送別行事」といいわけしました。

 自衛隊では今、イラク、インド洋など憲法違反の海外派兵の本格的な拡大に合わせるかのように、陸海空を問わず、いじめや自殺、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)が後を絶ちません。

 軍隊での性的無軌道が性的拷問につながることは、イラクでの米兵による捕虜への性的虐待を見るまでもありません。

 施設学校には陸上自衛隊のイラク派兵に合わせて、海外での宿営地のつくり方を普及するための「国際貢献活動教育センター」が〇四年に開設され、派兵要員が全国から派遣されてきました。勝田駐屯地司令を兼ねる施設学校長(陸将補)は海外任務経験者でした。

 海外派兵の日常化が、反社会的な行為に反映しているのではないかと疑わざるをえません。



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