2008年12月7日(日)「しんぶん赤旗」

主張

派遣切り・期間工切り

政治の責任で実効ある対策を


 年の瀬を迎え、突然解雇を言い渡された労働者の苦境は、言葉で語り尽くせないものがあります。とりわけ派遣や期間工など非正規労働者は、解雇と同時に寮などを追い出され、生活の基盤そのものを崩壊させられます。文字通り路頭に迷う、深刻な事態です。

 派遣切りや期間工切りは、労働法制など雇用のルールを踏みにじる無法なもので、規制緩和で非正規労働を拡大してきた政府の責任も重大です。いまこそ政治の責任で無法・違法な解雇をやめさせ、生活と雇用を保障する、実効ある対策をとることが重要です。

雇用悪化は天災ではない

 深刻化する雇用問題に対し、日本共産党の志位和夫委員長は麻生太郎首相に緊急対策を申し入れ、党首会談でもその実行を求めました。自民党と公明党の与党は提言をまとめ、政府は週明けに対策を決定することにしています。

 麻生首相は国会答弁でも、雇用情勢の悪化は「アメリカ発の金融危機による『金融災害』というべきもの」といった答弁を繰り返します。しかし、トヨタなどの大企業が派遣労働者や期間労働者を大量に解雇しているのは決して「天災」ではありません。トヨタでいえば、今年度六千億円もの利益を見込み、十三兆円もの内部留保をため込んでいます。大量解雇は労働者に犠牲をしわ寄せし、企業だけがもうけを続けるためです。

 大量解雇による雇用の悪化は、これまでの景気の後退期に比べても異常に速いスピードです。大企業が景気のよいときは派遣など非正規の労働者を増やして利益を上げ、景気が悪くなりそうだとなると、率先して切り捨てているためです。背景には、労働法制の規制緩和で非正規労働者を拡大してきた政府の政策があります。

 政府は「政治災害」だという批判にこたえるためにも、無法な解雇をやめさせ、雇用と生活を守る対策をとるべきです。正社員があたり前の働き方になるよう、派遣法などの抜本改正も不可欠です。

 麻生首相は志位委員長との党首会談でも財界団体などに「要請した」としか答えず、衆院予算委では首相や舛添要一厚労相が「介入できない」などと答弁しました。

 とんでもないことで、労働者の雇用と生活を守るために無法・違法な解雇をやめさせるのは政府の大事な仕事です。不当な解雇に反対する労働者のたたかいで、解雇以外方法がないなど「四要件」を満たさない整理解雇は無効だという判例が確立しています。非正規労働者も同じです。労働契約法では期間労働者は契約期間中、解雇できないことにもなっています。

 無法・違法な解雇をやめさせるため、政府が指導・監督の責任を果たすのは当然であり、大企業に雇用のルールを守らせる、実効ある措置をとるべきです。

無法許さぬ政治の責任

 派遣切り・期間工切りが進めば、年末に多くのホームレスがちまたにあふれるとまで懸念されています。事態は切迫しています。政府が「行政不介入」などを口実に、対策の手をこまねいていることは無法の追認にしかなりません。

 雇用の不安を解決し、人間らしい労働を実現してこそ、経済も拡大できます。雇用対策を言葉だけにせず、派遣切り・期間工切りなど、無法な解雇をやめさせるかどうかが政府に問われています。



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