2008年12月4日(木)「しんぶん赤旗」

途上国の子ども

8人に1人 小学校に通えず

日本の初等教育援助に批判も

ユネスコ報告書


 発展途上国の子どもの八人に一人が小学校に行けない―国連教育科学文化機関(ユネスコ)が十一月二十五日に発表した「万人のための教育(EFA)世界調査報告二〇〇九年版」はこうした実態を告発しました。二〇一五年までに子ども全員に初等教育の機会を保障することをうたった国連ミレニアム開発目標(MDG)の達成が危ぶまれています。

 報告は二〇〇六年の公式統計にもとづいています。小学校に通っていない途上国の子どもは約七千五百万人。うち55%は女子です。

 サハラ以南アフリカについて、タンザニア、エチオピアなどの国で前進がみられるものの、全体では三分の一の子どもが学校に通っていません。

 現在のまま推移すると一五年には世界の貧困国で二千九百万人以上が学校に通えないと予測。特にナイジェリアやパキスタンなどで劣悪な状態となると予測しています。

 報告は「英国やフランスの子どもの最高学府(大学)進学は、ニジェールあるいはセネガルの子どもが小学校を修了するより容易だ」と教育の機会の国際的な格差を指摘しています。

 ユネスコは、途上国政府の政治的無関心だけでなく、富裕国が援助の約束を果たしていないと批判しています。〇六年の日本の教育援助額は主要国中五位の九億二千万ドル(約九百億円)。ところがそのうち初等教育向けは二億四千三百万ドル、全体の26%にすぎません。

 援助額で一位のフランスも初等教育向けは17%、二位のドイツは11%といずれも低率。三位のオランダは83%、四位の英国は71%でした。報告は日独仏に対し、「最貧国で最も必要な初等教育を極めて軽視している」と厳しく批判しました。

 ユネスコの松浦晃一郎事務局長は、「教育の機会不均等は貧困、飢餓、子どもの死亡率を加速し、経済成長を阻害する」と警告しています。


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