2008年11月13日(木)「しんぶん赤旗」

宇宙戦略本部

JAXAの軍事研究検討

吉井議員 「平和目的に反する」


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(写真)質問する吉井英勝議員=12日、衆院内閣委

 政府の宇宙開発戦略本部(本部長・麻生太郎首相)の専門調査会が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)を動員した軍事開発研究の推進を検討していることが十二日、衆院内閣委員会の質疑で明らかになりました。日本共産党の吉井英勝議員が質問しました。

 JAXAは、日本の宇宙科学研究や開発利用を実施する独立行政法人。JAXA法第四条は、研究開発を「平和の目的に限り」行うと定めています。

 戦略本部事務局が四日の専門調査会で、今後の人工衛星利用の課題として「防衛利用にかかる今後の研究開発活動において、宇宙機関との連携について検討」するとした問題で、吉井氏は「宇宙機関」が何を指すのか質問しました。

 丸山剛司・内閣審議官が「主としてJAXA」と説明。河村建夫官房長官は、宇宙基本法によって日本の宇宙開発は「非軍事」から「非侵略」に拡大したとの政府の立場を述べたうえで、「専守防衛の中で、JAXAのあり方の見直しを検討している」と答えました。

 吉井氏は「JAXAが軍事利用のための宇宙開発を進めることは、JAXA法に合わないし、憲法九条を踏みにじるものだ」と批判しました。


解説

宇宙の軍事利用具体化

 これまで日本の宇宙開発は、一九六九年の国会決議によって「非軍事」に限定されてきました。月探査機「かぐや」や小惑星探査機「はやぶさ」などによる宇宙科学の成果は人々の夢やロマンをかきたて、国民生活に密着した宇宙利用も進んでいます。

 こうした活動を担ってきた宇宙航空研究開発機構(JAXA)を、軍事研究に動員することは言語道断です。

 今回の動きは、軍事利用に公然と道を開く狙いで自民・公明・民主の各党が五月に強行した宇宙基本法を具体化したものです。同法により、宇宙開発戦略本部が宇宙基本計画の策定を進めており、ミサイル防衛のための早期警戒衛星導入など、宇宙軍拡の意図を露骨に示しています。

 同法には「情報の適切な管理」が盛り込まれています。JAXAの研究開発に「軍事」を持ち込むことになれば、研究成果が“機密のベール”に包まれ、自由な研究が制約されたり、科学者・技術者が身元調査や思想調査をされるのではないかと心配の声もあがっています。(中村秀生)


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