2008年11月12日(水)「しんぶん赤旗」

独31大学で「資本論」講座

金融危機や搾取“わかった” マスメディア注目

今秋から一斉に開講


 ドイツの三十一大学でこの秋からマルクスの「資本論」の講座が始まり、マスメディアにも「小さな十月革命」として注目されています。一九六〇、七〇年代以来、長らくマルクス経済学が教えられなかった大学も多く含まれ、金融・経済危機の中で、「ますます多くの学生たちは資本主義の不合理性を分析したマルクスを学びたいと思っている」状況が現れています。

 講座を組織しているのは、ドイツ連邦議会(下院)で五十四議席を有する左翼党の学生組織。「マルクス新発見」プロジェクトを昨年立ち上げ、各地で進歩的な教授の援助を受けながら今年十月からの冬学期から自主的な講座を始めました。

 講座は、ほぼドイツ全域の有力三十一大学で開催され、「搾取の現状がよくわかった」(フライブルク大学での参加者の感想)など好評。各大学での第一回の講座だけで千八百人以上の学生が出席しました。

 ドイツの各マスメディアも大きく取り上げています。週刊紙ツァイト十月十六日付(電子版)は「資本主義がどのように機能しているか、貧富の差がなぜ大きくなっているのか知りたいと思う人が増えている」と主催者の言葉を紹介。「主流となっているいわゆる新自由主義は席を譲ろうとはしないだろう」としながらも、「マルクスが大学講座に復活するのは十分可能だ」とのブレーメン大学の政治学者の話を伝えています。

 有力週刊誌『シュピーゲル』十月三十一日付(電子版)は、「小さな十月革命」という見出しでフライブルク大学の講座の様子を描き、「新しい社会が可能になっているようだ」との参加者の話を伝えています。

 日刊紙タッツ十月三十一日付(電子版)もベルリン・フンボルト大学での講座を取材。受講者から「金融危機は資本主義のシステム的な誤りがあることを印象づけている」「資本論は今日、以前よりずっと現代的になっている」の声があがっていると報じています。

 日刊紙ターゲスシュピーゲル十月三十一日付(電子版)は、十月だけで二百五十八部の「資本論」が売れ、今年になっての売り上げ部数はすでに二〇〇五年の四倍になっていると報道しています。


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