2008年11月9日(日)「しんぶん赤旗」

中南米諸国

“キューバ経済封鎖解除を”

オバマ米次期大統領に要求


 【メキシコ市=島田峰隆】米国の次期大統領に民主党のオバマ上院議員が選ばれたことを受けて、中南米諸国の多くは対キューバ経済封鎖の解除を改めて求めています。


 中南米地域では、ベネズエラやボリビアなど米国から干渉を受けてきた国も含めて大部分の国がオバマ氏の当選を歓迎しました。ただ歓迎の主な理由は、同氏が人種差別の壁を乗り越えたことや国連無視の政策や新自由主義の経済路線に固執したブッシュ政権を終わらせたことに集中。「新しい段階を開いた」(メキシコ紙)という歓迎で、「米外交政策に根本的な変化はない」(エクアドル大統領)という見方も少なくありません。

 対米関係の「新しい段階」の重要課題として中南米諸国が押し出しているのが、米国による対キューバ経済封鎖問題。ブラジルやボリビア、ベネズエラなどは五日、「キューバ封鎖は説明がつかない」(ブラジル)とオバマ氏に封鎖解除を強く求めました。

 米国はキューバ革命政権の崩壊を狙って一九六二年から経済封鎖を続けています。オバマ氏は、中南米政策でも「変革」を訴えました。しかしキューバについては、「封鎖を続ける」「キューバが民主主義に向けて重要な動きを見せれば、関係正常化の措置を取る」(五月の演説)と述べるなど内政干渉の姿勢はブッシュ政権とほとんど変わりません。

 国連総会は十月二十九日、過去最高の百八十五カ国の賛成で対キューバ経済封鎖の解除を求める決議を採択しました。決議採択は十七年連続で、「孤立しているのはキューバでなく米国」(ロイター通信)と指摘されています。

 キューバも五日、「平等な対米関係をつくる準備がある」と改めて表明。他の中南米諸国もこの立場を支持しています。

 オバマ氏は前述の演説で、「米国のごう慢さと中南米での反米意識を変えるときだ。中南米諸国とは、お互いに耳を傾け、お互いに学ぶときだ」と語りました。この姿勢が本当かどうか、今後の政策で試されます。


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