2008年11月3日(月)「しんぶん赤旗」

自民対民主で政治描く不毛


 そもそも自民党と民主党の間に真の対立軸はあるのか――。解散・総選挙を前に自民vs民主の二大政党対立を煽(あお)る自民、民主両党の足元で、そんな疑問が聞かれます。

 先月二十四日に愛知県豊橋市で自民党愛知十五区支部が町村信孝前官房長官を囲む懇談会を開きました。

 講演に先立って同支部は町村氏に講演内容について特に注文をつけました。(1)自民党と民主党との違いについて(2)小沢一郎氏について、触れてほしいということでした。

 臨時国会で最大の与野党対立テーマになるだろうとマスメディアが指摘していた新テロ特措法延長案をめぐって自民、民主両党の違いは国民には不鮮明でした。民主党は昨年の対決姿勢から一転、衆院では成立を前提に審議促進の対応。自民党国対幹部をして「驚愕(きょうがく)のできごと」と歓喜させました。

 麻生内閣が決めた追加経済対策は、三年後の消費税引き上げを盛り込みました。三年後には民主党代表に消費税増税論者の岡田克也元代表が返り咲いているという想定が織り込まれている、という自民党側の解説もあります。

 両党の違いと対立軸が解散・総選挙を前に一段とあいまいになっています。このため選挙の第一線に立つ関係者から違いをはっきり説明して、という注文がついているのです。

 自民党本部関係者はいいます。

 「自民党と民主党の違いをひとことでわかるように説明してほしい、という要望は全国に共通しています。しかし、党幹部でも、さして大きくない政策の違いをわかりやすく説明するのは意外に骨なんです。結局、党首の顔の違いという説明が一番わかりやすいということになってしまう」

 自民、民主両党が「(麻生)太郎対(小沢)一郎」などと「党首対決」を前面に押し出しているのは、政策で違いを鮮明にできない事情が働いています。

 しかし、「麻生対小沢」で違いを出すにも、さかのぼれば麻生氏には、最大派閥をバックに権勢を振るった自民党当時の小沢氏との関係を誇るかのような一時期がありました。

 「今や麻生氏は宮沢派内で唯一の小沢氏とのパイプを持った人物となりつつある」(麻生太郎事務所『21世紀を見すえて』一九九二年十二月)

 当時、麻生氏は宮沢派若手、小沢氏は竹下派大幹部で前幹事長という立場でした。

 自民、民主両党の対立構図で、いまの政治を描く不毛を示しています。(井)


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