2008年10月30日(木)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

税金で損失負担する仕組み
佐々木議員

最終的には損する事もある
財務・金融相

衆院財務金融委員会


 「政治のあり方が問われている」。日本共産党の佐々木憲昭議員は二十九日、衆院財務金融委員会で金融機関に公的資金を投入するための新金融機能強化法案について質問しました。


原因断定できない

 大手金融機関の貸し渋り、輸出大企業による人減らしや下請け単価切り下げなど…。アメリカのサブプライムローン問題に端を発する世界的な金融危機が、日本経済にも深刻な影響を与えています。

 佐々木氏は今回の金融危機の背景に、アメリカの金融自由化・規制緩和があったと指摘しました。

 佐々木 金融危機を引き起こした背景に、アメリカにおける金融バブルの極端な膨張があり、金融当局の対応に問題があった。

 中川昭一財務・金融相 現在進行形なので、何が原因だとか、どこが悪かったと断定していうことは控えたい。

「貯蓄から投資へ」

 「骨太の方針」第一弾(二〇〇一年)以来、アメリカの金融自由化を手本に「貯蓄から投資へ」を促進してきた自民・公明政権。佐々木氏は、アメリカと日本の家計の金融資産構成を比較しました。

 家計の金融資産構成は、アメリカの家計が、投資信託や株式・出資金中心にたいし、日本の家計は、現金・預金が中心となっています。

 佐々木氏はこうした金融資産構成だからこそ、「金融ショックの打撃もアメリカほど大きくない」と強調。「政府が『貯蓄から投資へ』をいたずらにあおるべきではない」と求めました。

 さらに佐々木氏は、金融危機に拍車をかけた投機資金の増加の背景に、日銀の低金利政策とそれを容認した政府の姿勢があったことをただしました。

 谷本龍哉内閣府副大臣は、日本の低金利が円キャリー取引(低金利の円資金を借りて米ドルなどで運用し、利ざやを稼ぐこと)を生じさせやすい環境をつくったことを認めました。

 佐々木 円キャリートレードが、ヘッジファンドのもっとも身近な資金源になった。

 谷本副大臣 わが国の金利は諸外国に比べて長年低水準で推移していたので、他の通貨との関係で円キャリー取引が生じやすい環境にあったということは事実だ。

10年間法人税ゼロ

 佐々木 (新金融機能強化法案は)最終的な損失が出たときは、国民が税金で負担する仕組みだ。

 財務・金融相 最終的には損する事もある。

 同法案に盛り込まれた仕組みが最終的に損失が出た場合に、国民が税金で負担する仕組みであることを認めた中川財務・金融相。佐々木氏は、金融機関の経営安定のために公的資金が必要ならば「最終的に、銀行業界全体の負担で返済すべきだ」と強調しました。

 みずほ銀行や三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行など三大メガバンクは「おおむね十年間は法人税を納税していない」(三國谷勝範金融庁監督局長の答弁)ことが明らかになりました。

 佐々木氏は「国民や中小企業に犠牲を押し付けながら、大企業には減税を行う。大銀行は法人税ゼロ。これはやはり根本的にあらためなければならない」と追及しました。


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