2008年10月19日(日)「しんぶん赤旗」

金融危機から弱者守る

アジアで社会的対話を

政労使代表がフォーラム

ソウル


 韓国の首都ソウルで十六日、日中韓などアジア十一カ国から労組、経営者団体、政府の代表が集まり、第一回「アジア社会的対話フォーラム」が開かれました。米国発の金融危機が世界経済に影響を与えていることを受け、開発途上国や社会的弱者にしわ寄せを押し付けない「公正なグローバル化」のために、労組を含めた「社会的対話」を活性化させるべきだとの声が出されました。

 フォーラムは韓国の経済社会発展労使政委員会が、「アジア各国の社会的対話機構の設立を促進し、社会的対話と経済・社会発展に寄与する」ことを目的に主催。採択された宣言は、フォーラムの定期的な開催を通じて政労使の対話を促進することを確認しました。

 国際労働機構(ILO)のソマビア事務局長はフォーラムに寄せたメッセージで、「国際的な経済成長の減速による衝撃と、公正なグローバル化の実現に向けて社会的対話が寄与すると確信している」と強調しました。

 ILOは今年六月の総会で採択した「公正なグローバル化のための社会正義に関する宣言」で、社会的対話と政労使の三者構成主義を四つの戦略目的の一つとして明記しています。

 タイ国家経済社会諮問会議のウォラポン副議長は、アジア各国を襲った一九九七年の経済危機を克服するために政労使機構として諮問会議が発足したと紹介。政府の経済計画の多くは諮問会議の事前検討が義務付けられていると述べました。

 韓国労働研究院(労働省傘下)の崔栄起(チェ・ヨンギ)前院長は、韓国でも九七年の危機を克服するために労使政委員会が設置されたと述べ、「韓国政府は雇用創出と格差是正のために、正社員の労働市場の弾力性を高め、非正規職の雇用を安定させようとしている。労組などの社会的パートナーとの協議や協調が不可欠だ」と強調しました。

 フィリピン労働省のラグマン次官は、同国では政労使代表で構成する産業平和委員会があり、教育・賃金と生産性・医療保険・貧困根絶などの分野の政策立案を協議していると語りました。

 欧州連合(EU)の諮問機関である欧州経済社会評議会のベンチュリニ事務総長は、EU執行機関である欧州委員会には社会的対話を促進する条約上の義務があると指摘。欧州の先例がアジアの参考になる可能性があると語りました。

 日本からはILO労働側理事を務める連合の中嶋滋国際代表が出席しました。


 社会的対話 国際労働機構(ILO)の定義によると、「政府、使用者、労働者の代表が、経済・社会政策に関する共通の関心事について行う交渉、協議、情報交換」。労組の関与で民主的な政策立案・遂行をめざします。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を重視するILOは、社会的対話を四つの戦略目的の一つとしています。



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