2008年10月11日(土)「しんぶん赤旗」

賃貸保証会社「リプラス」破産

自治体の入居支援が混乱

“旗振ったのは国”


 高齢者などを対象にした自治体による民間賃貸住宅への入居支援事業で連帯保証人を代行していた大手賃貸保証会社「リプラス」(本社・東京都港区、東証マザーズ上場)が破産し、関係者は対応に苦慮しています。同社は首都圏を中心に二十一自治体、二十三支援事業にかかわって業務しており、影響が広がっています。(本田祐典)


 リプラスは二〇〇二年九月に設立し急速に営業を拡大。連帯保証人を代替する賃貸保証の累計契約件数は約六万件(〇八年六月時点)です。九月二十四日、東京地裁に破産申請し、十月七日にクレジットカード決済事業などを行う「デジタルチェック」(本社・東京都新宿区)に賃貸保証部門を売却することが内定しました。

 「破産申請の二週間前に新しい契約をしたばかり」と訴えるのは新宿区高齢者入居支援事業の担当者です。新宿区など二十一の自治体はリプラスを協定企業に選定し、連帯保証人がいない高齢者などに、それぞれ「紹介」「保証料助成」などの形で賃貸保証契約を結ばせていました。

 同区では〇三年にリプラスなど二社と協定を結び、高齢者、障害者、ひとり親世帯を対象に初回契約時の保証料を助成。現在までリプラスの契約実績は四十件です。

 他自治体に先駆けて入居支援を始めた豊島区も「まさか破産するとは」(担当者)と困惑した様子。〇二年に一社独占で協定を結び、高齢者を対象に保証料の二分の一(最高一万円)を助成してきました。契約実績はのべ六十四件です。

「破たんするの分かっていた」

 一方、業界関係者は「破たんはわかりきっていた」(都内の賃貸保証会社幹部)と冷ややかです。リプラスは資金調達のために将来入る予定の保証料を証券化して借り入れを行ったほか、投資事業の収入に経営を依存していたため、事業継続が以前から疑問視されていたといいます。

 賃貸保証ビジネスは所管官庁がなく、保証能力が低い企業や悪質な企業を排除する規制はありません。倒産や事業停止は〇七年九月に「明幸」(札幌市)、〇八年二月に「ウィル賃貸保証」(大阪市)と続き、三件目です。

 なぜ自治体は賃貸保証会社に依存したのか。前述の保証会社幹部は「旗振りをやったのは国だ」と背景を明かします。

 国土交通省住宅局住宅総合整備課の担当者は「〇六年に高齢者などの入居支援制度(あんしん賃貸住宅支援事業)を開始した際に、あわせて自治体に連帯保証人がいない入居者への対応として賃貸保証会社の存在を情報提供した」と説明します。

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