2008年10月1日(水)「しんぶん赤旗」

先進国の住宅政策は?


〈問い〉息子夫婦が、マイホームの新築で大変苦労しています。先進国の住宅政策と日本共産党の政策を教えてください。(京都・一読者)

〈答え〉アメリカのサブプライム・ローンは、低信用層向けの住宅ローン貸し付けが焦げ付いたことに端を発しました。日本も同様で、歴代の政府は「住宅の確保は自己責任」という「持ち家政策」を推進しているため、収入に比較して過分のローン負担を余儀なくされています。特に若者は、非正規雇用が多く、収入も不安定で、以前と違った困難に直面しています。

 なぜ持ち家なのか。それは適切な家賃で良好な住環境の公的賃貸住宅や民間賃貸住宅が供給されていないからです。

 日本の公的賃貸住宅は、地方自治体が建設・管理する公営住宅、UR(旧公団)住宅などがありますが、全住宅数に占める割合は6・7%で供給戸数が少ないうえ、近年ではほとんど新規建設されないため、東京都営住宅の空き家募集では平均で30倍という状況です。またUR住宅も10年間で8万戸削減する方針を打ち出し、居住者に不安を与えています。また高家賃で年数を経た住宅は設備が老朽化しているなどの問題もあります。

 これに比して、例えばフランスでは、「住宅に居住する権利」を国民の基本的な権利として掲げ、ホームレスや劣悪な住宅に居住している世帯への居住福祉政策強化を狙いとした「ベッソン法」を中心にすすめ、公的賃貸住宅は全住宅の17・3%を占めています。

 ドイツでは、「社会住宅」の建設を積極的に推進するいっぽう、賃貸住宅にたいする家賃補助、持ち家住宅への負担補助などの住宅手当を支給しています。

 わが国でも「住生活基本法」が制定されましたが、「住生活の安定の確保及び向上」を基本目的にしながら、肝心の居住者、国民の権利がまったく登場しない、きわめて不十分なものです。しかも、これまでの住宅建設計画法と「住宅建設計画」が廃止され、公共住宅の供給に関する政府目標などがなくなりました。現在、住宅供給も、住宅取得のための金融も、「市場まかせ」「民間まかせ」にしていますが基本法はそれを追認、固定化するものです。

 日本共産党は、公共・民間、持ち家・借家といった形態を問わず、国民の居住の権利を明確にし、その保障の指針となる基本法の実現を要求しています。その内容としては、当面、(1)国民の住まいに対する権利の規定(2)めざすべき居住・住環境の水準の法定化(3)適切な住居費負担の設定(4)公的住宅の質量ともの改善の明確化(5)国民の権利を守るための国・自治体や住宅関連事業者・金融機関などの責務の明確化などです。(高)

 〔2008・10・1(水)〕


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp