2008年9月25日(木)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度で

受診手控え 実態くっきり

通院日数減少、02年改悪時の2倍

民医連調査


 全日本民主医療機関連合会(鈴木篤会長)は二十四日、国会内で記者会見し、四月から導入された後期高齢者医療制度の下で、七十五歳以上の高齢者が受診を手控えている実態を示す調査結果を発表しました。

 調査は、全国六十六病院と百四十七診療所からの回答をまとめたもの。

 それによると、七十五歳以上の高齢者(後期高齢者)が今年四―六月期に病院・診療所の外来に通院した日数について、一年前の同時期と比べると、8・47%減(病院10・48%減、診療所7・84%減)となっています。

 その減少幅は、後期高齢者以外の患者の通院日数(病院4・33%減、診療所3・15%減)より大きくなっています。入院日数でも後期高齢者で減少が大きく、後期高齢者医療制度のもとで、七十五歳以上の高齢者が通院や入院を手控えている実態が浮き彫りになりました。(グラフ参照)

 調査では、七十歳以上の高齢者の自己負担を定額制から定率制に変えた二〇〇二年の医療制度改悪による受診抑制と、今回の受診抑制を比べています。

 その結果、〇二年改悪時の外来通院の日数は前年同期比で4・4%の減少でしたが、今回は8・47%減と二倍近い受診抑制となっていることも分かりました。

 回答を寄せた各地の医療機関からは「月額七万円の年金暮らしの七十五歳。定期受診が必要だが、食事などをめいっぱい切り詰めても、受診する費用がねん出できない」(北海道)、「七十八歳女性。後期高齢者医療制度の開始(による保険料負担)や介護保険料の値上げで、年金の手取りが減り介護サービスの利用を減らした」(青森)など、医療や介護の保険料や自己負担の増加が、高齢者の暮らしと健康を脅かしている実態が報告されています。

 会見した全日本民医連の湯浅健夫事務局次長は「(年金制度の改悪で)ただでさえ減っていく年金収入から、保険料が天引きされることが不安を広げ、結果として受診抑制につながっている。お年寄りを窮地に追い込む後期高齢者医療制度は廃止するしかありません」と訴えました。

グラフ


■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp