2008年9月9日(火)「しんぶん赤旗」

小沢代表が無投票3選


 民主党の小沢一郎代表は八日、党本部で民主党代表選に立候補の届け出をし、代表選公約を発表しました。小沢氏以外に届け出はなく、小沢氏の無投票三選が確定。二十一日の臨時党大会で承認されます。

 小沢氏は三選確定後の記者会見で、マニフェスト(政権公約)や第一次公認候補の発表とあわせ、総選挙準備を急ぐ考えを示しました。

 公約は「国民生活を顧みない自公政権を倒し、日本を再生させる新しい政権をつくる」「『国民の生活が第一。』の大原則に基づいて、政治・行政の仕組みそのものをつくり替え」るとし、その具体的な柱として年金、子育て、雇用、農漁業分野など九つの政策を掲げています。

 「国民自身が政治を行う仕組み」として、新たに「与党議員を100人以上…政府の中に入れる」ことなどを盛り込みました。

 小沢氏は自民党との最大の違いについて、「自民党政治は、官僚機構のいうがままに行われている。われわれは、国民に選ばれた政治家が自ら判断し政策を決定する」と答えました。

 しかし、公約では、大企業応援の「構造改革」と米国いいなりの海外派兵という、自公政治の中身の転換の方向は示されていません。


自公政治を転換する方向なし

 民主党代表選で無投票三選が決まった小沢一郎代表は八日発表した代表選公約「基本政策案」で、「国民生活を顧みない自公政治」に代わり、「国民の生活が第一」の大原則に基づいた新政権をつくるとうたいました。

 そのなかで小沢氏は、年金・医療制度などで「全ての国民が安定した生活を送れる仕組み」をつくることや、「子ども手当」の支給、「働く貧困層」の解消、「農業者戸別所得補償制度」創設や高速道路無料化を掲げ、「『日本再生』の大事業の先頭に立つ」と誓っています。

 これらの政策自体は国民の要求を一定反映したものですが、本当に「国民の生活が第一」の政治を実現しようというのなら、大企業中心、アメリカいいなりの自公政治のどこをどう変えるのか、政治の転換の方向を示すべきです。

 しかし小沢氏が掲げた「基本政策案」をみるかぎり、財界・大企業優先の政治や貧困と格差を拡大させた「構造改革」路線という、行き詰まった自公政治の中身の根本的な転換の方向はみえてきません。

 同日の記者会見で「基本政策案」の実現に必要な財源をどう確保するのかと問われた小沢氏は、官僚機構による無駄遣いや特別会計の「洗い直し」などを行えば「財源は十分ある」と主張しました。

 ところが、バブル期の二倍近くの利益をあげている大企業に応分の負担を求めることや、年間五兆円にのぼる軍事費の削減には一言も言及がありません。

 一方で、高齢化による「社会保障費の増大は、ある程度避けられない」と言明。「基本政策案」には、基礎年金を全額税(消費税)でまかなうという政策が改めて盛り込まれています。つまり、高齢化による年金財源の不足は消費税増税でまかなうという将来設計にほかなりません。

 基礎年金の全額税方式は、企業の保険料負担をゼロにしたい財界の強い要求であり、ここでも大企業中心の姿勢はそのままです。

 また、「構造改革」路線による弱肉強食の規制緩和をどう見直すというのか。たとえば、一九九九年以来原則自由化された派遣労働についても、小沢氏の「基本政策案」は、「働く貧困層」の解消や、非正規雇用と正規社員との「均等待遇」には触れています。

 しかし、九九年の労働者派遣法改悪以前に戻すという立場には踏み込んでいません。財界・大企業の強い要求で強行された原則自由化に民主党も賛成したからです。

 安保・外交問題でも、「国連の平和活動に積極的に参加する」として、国連の看板さえあれば、海外での武力行使も認めることを公然と表明している小沢氏の立場がにじみ出ています。同氏は、アフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)などへも自衛隊を参加させるとしています。

 小沢氏は、この「基本政策案」を軸に総選挙のマニフェスト(政権公約)をまとめるとしています。財界・大企業優先政治や軍事費に手をつけないマニフェストでは、真に「国民の生活が第一」の「新しい国民生活」づくりができるはずはありません。(林信誠)


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