2008年8月31日(日)「しんぶん赤旗」

日本の強制動員被害者

韓国政府が慰労金

来月 申請受け付け


 韓国政府が、植民地時代の日本による強制動員の被害者に対する慰労金の支給を始めます。昨年十二月に支援法が制定。首相傘下の「太平洋戦争前後国外強制動員犠牲者支援委員会」が九月一日から、申請を受け付けます。(中村圭吾)


 国家総動員法が施行された一九三八年四月一日から、朝鮮半島が解放される四五年八月十五日までの期間に、強制動員された人やその遺族などが対象。死亡・行方不明者には、二千万ウォン(約二百万円)の慰労金が支給され、負傷者には最大二千万ウォンの慰労金、年間八十万ウォン(八万円)の医療支援金が支払われます。

794万人を連行

 韓国側の研究によると植民地時代に、七百九十四万人が、軍人・軍属、労務者として強制連行されました。二〇〇四年から始まった韓国政府の真相究明では、遺族から申請があった八万三千八百二十九件(〇八年八月現在)が強制動員として認定されました。

 被害者・遺族らは、日本政府に補償を求めていましたが、日本政府は「個人補償問題は解決済み」だとして拒絶。一九六五年の日韓基本条約の交渉過程で、当時の韓国の軍事政権が個人請求権を放棄したことも明らかになり、韓国政府に救済を求める世論が高まっていました。

 遺族の一人、金健起(キム・コンギ)さん(68)は、「韓国政府の制度はできたが、日本政府もこれにあわせて適切な協力をすべきではないのか」といいます。生後百日で父が強制連行され、五歳の時にニューギニアで戦死。日本兵も全滅する激烈な戦闘で、当時の状況を証明するものが残っておらず、政府に申請をしても認められるかどうかは微妙だといいます。

謝罪言葉だけ

 金さんは、真相解明や犠牲者の遺骨の返還、未払い賃金の返還など日本政府の協力が不可欠だと指摘。「日本政府は、言葉だけで謝罪するが、苦痛を受けた遺族の痛みを癒やすことなくして、未来には進めない。なんとしても解決してほしい」と語ります。


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