2008年8月31日(日)「しんぶん赤旗」

消防広域化 “火消せぬ”

国が統合推進 現場に不安

署が減る 到着に遅れ


 九月一日は「防災の日」。総務省消防庁がすすめる消防本部の広域化で、これまでに全国の三十五都道府県が広域化推進計画を策定し、そのうち十県では全県で消防本部を一つに統合する方向で進んでいることが三十日、分かりました。同庁は、消防本部の規模は大きいほど望ましいとしていますが、消防の現場では「広域化で火災現場の地理が不案内になる」「消防署のリストラにつながり、現場到着の遅れで火事を消せなくなる」などとして反対する声があがっています。

35都道府県計画

 消防の広域化は、二〇〇六年に施行された消防組織法の改定によるもの。同庁は管轄人口十万人以下の小規模消防本部を解消し、三十万人以上に統合再編する消防広域化基本指針を打ち出し、今年三月までに統合の推進計画を策定するよう都道府県に求めていました。一二年までに、市町村議会の議決を経て広域化を実現すれば、施設整備費などに国の援助が得られます。

 三十五都道府県が策定した計画では、現在六百三十五ある消防本部が百七十四に統合されます。消防本部を一つに統合するとした十県以外にも、複数の県が段階的に一つにすることを見越しています。

 同庁は、広域化で消防本部を大規模化すれば、「たくさんの消防車を現場に投入できる」「指令や管理部門が効率化」「高額な設備の導入」などをメリットにあげています。しかし消防の現場では「本部と現場の距離が遠くなる」「小規模消防署の統廃合につながる」との不安が強くあります。三重県が行った消防職員へのアンケートでは、現在の十五の消防本部を段階的に四つに統合するという県の計画に約八割が否定的な回答をしています。

 愛知県の消防幹部は「広域化でどうなるのかは消防職員にさえ、きちんと知らされていない。“合併先にありき”でなく、国の基準をさえ下回っている地域の消防力をどうするのか、住民の目線できちん検討すべきだ」と話しています。


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