2008年8月25日(月)「しんぶん赤旗」

主張

突然の豪雨

警戒強め、被害の防止を


 夏も終わりに近づき、各地で集中豪雨や落雷、突風などの被害を警戒する声が相次いでいます。

 この時期の気象の変化は、通常夏の熱い空気が残っているところに秋の冷たい空気が流れ込み前線の活動も活発になって起こります。ところが近年深刻化しているのは、前線や台風の影響だけでなく地球の温暖化も背景になっていると見られる、局地的な集中豪雨です。局地的な大雨は、狭い地域に大きな被害を及ぼすことが多いだけに、とりわけ十分な警戒と被害を防ぐ対策が必要です。

いつどこで発生しても

 今年もすでに七月末に近畿地方や北陸地方で、八月上旬には関東地方や東海地方で、局地的な大雨による被害が発生しています。七月末の大雨では神戸市内の都賀川などで川遊び中だった子どもを含む七人が死亡したほか、金沢市内の浅野川がはんらんしました。八月上旬の大雨では東京・豊島区内のマンホールで作業中だった五人が増水に流され死亡しました。

 いずれも大気の状態が急激に変化したことが、局地的な大雨の原因になったと見られています。気象庁などでは、予測はきわめて難しかったと説明しています。

 相次ぐ大雨被害を受け、気象庁や国土交通省も、予測技術の開発や被害の軽減策についての検討を始めましたが、ことは一刻の猶予も許されません。貴重な人命が奪われ、住宅などに大きな被害が出る事態を繰り返さないために、対策を急ぐことが求められます。

 夏場に都市部で発生する局地的な大雨は、建物や自動車から大量の熱を発生し緑地や河川も少ない大都市の気温が、周辺よりも急激に高くなるヒートアイランド現象が原因になっているといわれます。大都市の上空に強い上昇気流が発生し、大雨や突風の原因となる積乱雲を発生させるためです。

 しかし、近年の「異常豪雨」といわれる大雨は、夏だけ、都市部だけのものではありません。各地で時間当たりの雨量が一〇〇ミリを超すような豪雨や、「こんなことは生まれてはじめて」というような大規模な風水害が続発しています。政府の「異常気象レポート」も、大雨の出現には「長期的に増加傾向がみられる」と報告しています。

 これらの大雨は、前線や台風による影響に、地球温暖化の影響が合わさって、気象の変化を激しくしていると見られます。「異常気象レポート」も「地球温暖化の影響が現れている可能性がある」とのべています。異常豪雨など激しい気象現象は、めったに起きないことではなく、日本中どこでも起こりうると考えて備えることが不可欠になっています。

災害に強いまちづくり

 局地的な大雨など予測が難しい気象の変化も、日ごろからの対策を強めれば、少しでも被害を減らすことはできます。神戸市で起きた大雨被害では親水公園で遊んでいた子どもたちが犠牲になりましたが、国土交通省の調査では、全国の中小河川の親水空間のうち急な増水の可能性を看板などで知らせているのは17・6%、警報装置の設置は4・7%にすぎません。神戸市の事故も警報装置などがあればと悔やまれます。

 根本的には人命尊重の立場に立ち災害に強い街づくりを進めることです。開発優先ではなく、住民の立場に立った対策が急務です。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp