2008年8月21日(木)「しんぶん赤旗」

アフガン戦争に批判

兵士死亡で仏国内から声


 【パリ=山田芳進】フランスのサルコジ大統領は十九日、アフガニスタン駐留仏軍兵士十人が武装勢力タリバンの待ち伏せ攻撃を受けて死亡した事態を受けて声明を発表し、「テロとのたたかい」を続ける「決意」を明らかにしました。しかし、仏国内では犠牲になった兵士を悼む声とともに、テロを戦争で一掃しようとすること自体に批判の声が上がっています。

 野党・社会党のオランド第一書記は十九日声明を発表し、「この戦争の目的は何なのか。設定された目的のためにどれだけの軍隊が必要なのか」と問い、戦争の無益さを告発。さらに、「二〇〇一年以来の軍事活動と(アフガン)復興の結果」を評価するための上院外交委員会の招集を求めました。

 仏共産党は「フランスはアフガンから撤退すべきだ」と主張するとともに、北大西洋条約機構(NATO)の軍事機構への完全復帰の意向を示唆している仏政府の立場を批判し、「完全復帰をやめるべきだ」と主張しました。

 リベラシオン紙二十日付社説は、アフガン問題の解決は、圧倒的な軍事力を背景にしたとしても「政治的な解決しかありえない」と強調しています。

 サルコジ大統領は大統領選挙中にアフガンへの関与の見直しを示唆。今年四月のNATO首脳会議で、駐留仏軍七百人の増派を表明しました。そのときにも野党勢力から「米国への追随だ」と批判を受けていました。当時の世論調査では増派反対が68%、賛成はわずか15%でした。

 同大統領は二十日、クシュネル外相、モラン国防相らを伴ってアフガンの首都カブールを訪問。同市郊外の仏軍基地で仏軍兵士らに「職務を続ける」よう訴えました。

 一方、仏陸軍参謀総長によると、兵士十人が殺害されたのは十九日で、米軍特殊部隊を含む仏軍・アフガン政府軍兵士ら百人が偵察行動を行っていた際に攻撃を受けたといいます。仏軍兵士十人が一度に殺害されたのは、五十八人が死亡した一九八三年のレバノンでの自爆テロ以来の惨事。また戦闘での死亡は一九六二年に終わったアルジェリア独立戦争以来のことです。


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