2008年8月19日(火)「しんぶん赤旗」

公共事業 総務省調査

ずさん計画 裏付け

利用実績、予測下回る

北九州空港 半分以下に低迷

釧路工業用水道 約4割進出せず


 国の公共事業で、多くの利用者を予測して空港などを建設しながら実績は予測を大きく下回ったものが多数あることがこのほど、総務省の調査でわかりました。無駄な大型公共事業がずさんな計画で推進されている実態を国自身の調査で裏付けています。


75件を調査

 総務省が調査したのは昨年四月から今月まで。国交、農水、経産、厚労、環境、総務の六省がかかわった空港、港湾、ダムなどの直轄、補助事業七十五件。これらの計画時に立てた需要予測と利用実績について調査しました。

 すでに使用が始まった事業は三十三件ありますが、そのうち七件で利用実績が予測の50%を下回りました。80%以下のものになると十二件にのぼります。

 調査では「想定したことが実際には実現していない」「マニュアルどおりに推計していない」「適切でない数値を使用して予測」など、事例ごとに問題点を指摘しています。

 七十五件のうち四十五件で、事業主体の国や自治体が需要予測を立てていました。第三者機関によるチェックを受けたのは三十件にとどまっています。

 二〇〇六年にオープンした北九州空港は総事業費千二十四億円をかけました。国交省は着工前の一九九二年に利用者を年間五百二十二万人と予測していました。

 しかし工事開始後の〇二年に同省は予測を二百八十三万人に下方修正。それでも実際の利用者は年百二十四万人と、予測の半分以下に低迷しています。

 計画では八路線の定期便を当て込みながら、実際に開設したのは三路線にとどまるなど、甘い見通しが原因でした。

 予測の四分の一に給水実績が低迷している北海道の釧路白糠工業用水道(経産省が補助)もずさんです。工業団地に進出した二十七社の利用を予想していました。

 ところが、このうちの約四割の十社は用地取得どころか、進出への意思表明すらしていませんでした。結局、この十社は進出せず、予測を大幅に下回りました。この事業にかかった総事業費は四十六億円です。

改善を勧告

 総務省は八日、国交省、農水省など六省に、予測の精度を高めることなどを求めて改善を勧告しました。


■実績が需要予測を大きく下回ったもの

 ◆実績が予測の50%未満

 名古屋市営地下鉄名城線、福岡市地下鉄七隈線、北九州空港、釧路白糠工業用水、仙塩工業用水拡張事業、尾張工業用水、加古川工業用水(第2期)

 ◆実績が50%以上、80%未満

 札幌市営地下鉄東西線、花巻空港、能登空港、神奈川県内広域水道、福山市水道


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