2008年8月11日(月)「しんぶん赤旗」

国会図書館の法務省資料

政府圧力で閲覧禁止

米兵犯罪への特権収録


 日本に駐留する米兵の犯罪に関する日米間の密約を裏付ける法務省資料が、これまで国立国会図書館で閲覧可能でしたが、政府の圧力で六月下旬から閲覧禁止になったことが十日までに明らかになりました。


写真

(写真)閲覧禁止になった「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」

 利用禁止になったのは、一九七二年三月に法務省刑事局が作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」です。

 今年五月下旬、国会図書館に政府から、「(同資料を)非公開とする旨の発行者の公的な決定」が通知されました。同図書館は六月五日に関係部局長で構成される委員会で対応を協議し、「現時点では発行者の公的な決定と異なる判断を下す理由を見いだせなかった」として、同月二十三日に閲覧禁止を決定。同図書館のインターネット資料検索システム(NDL―OPAC)からも削除しました。

 国会図書館は、「真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与すること」(国会図書館法前文)を使命としています。政府の圧力は、こうした使命をもつ国会図書館への干渉であり、国民の知る権利を踏みにじる重大な動きです。

 法務省資料には、米兵の犯罪に対して、第一次裁判権(日本側が優先的に裁判を行う権利)の大部分を放棄するよう指示した一九五三年の通達など、政府が存在を公に認めていない米兵に対する特権的事項が収録されています。同資料は「マル秘」指定になっていますが、古書店で販売されていたものを国会図書館が入手し、一九九〇年三月に蔵書として登録しました。

 法務省資料の「発行元」である同省刑事局は本紙に対して、「本件についてコメントできない」としています。

禁止措置は定期的見直し

 国会図書館では、人権侵害にあたる内容が含まれている場合など、公開資料でも閲覧禁止とすることがあり、年に数回開く委員会でその是非を判断することになっています。

 ただし、同図書館は法務省資料の閲覧禁止措置も「社会状況の変化などに応じて、定期的に見直す」としており、恒久的なものではないとの見解を示しています。



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