2008年7月29日(火)「しんぶん赤旗」
水位、10分で1メートル
増水の警報設備なし
神戸・都賀川
連日の猛暑が続き、川遊びを楽しむことが多いシーズンをむかえています。しかし、川での釣りや水遊び、野外キャンプで、河川の急な増水で水難事故も後を絶ちません。
二十八日、急な増水で犠牲者を出した神戸市灘区の都賀川は河川敷が整備され、子どもや家族が楽しめる場所でした。六甲山系の谷川が灘区内の公園付近で合流し、南北にほぼ真っすぐ海に注ぐため、上流に降った雨が一気に流れ、急激な増水の危険をはらんでいます。過去にも急な増水をおこし河口まで流される事故も繰り返され、神戸市などは雨の後、増水が激しく注意が必要としていました。
兵庫県土木事務所によると、二十八日午後二時五十分時点で、甲(かぶと)橋での水深は通常とほぼ同じ三十三センチ程度。しかし、わずか十分間で水位一メートル以上の濁流に急変しました。都賀川には、増水を知らせるサイレンなど警報設備もありませんでした。また、気象庁が阪神地域に大雨・洪水警報を出したのは午後一時五十五分でした。
国土交通省河川局は、神奈川県西部の玄倉川での増水による水難事故や酒匂川の水難事故などを契機に、二〇〇七年に「急な増水による河川水難事故防止アクションプラン」をまとめました。しかし、「水遊びなど」の「安全確保は自己責任においておこなうべきである」として、水辺の「利用者が自ら安全を確保できるよう」にと、「天候や川の情報をチェックしよう」「急な増水に注意」「中州は危険」「すぐに避難」などパンフレットでの啓発にとどまっていました。(宇野龍彦)
「生活圏の川」に驚き
都賀川は流れの両脇に遊歩道があり、ジョギングや川遊びの市民がひんぱんに訪れます。魚のつかみ取りなどの親水行事も、多く開かれます。
一九七〇年代に、流域住民らが「都賀川を守ろう会」を結成。生活排水などで汚れた川の清掃や、行政と連携して魚道の整備などを行ってきました。近年はアユなどが溯上(そじょう)するようになったといいます。
住民によると、普段の水量は少なく、夕立後などは増水することもあるといいますが、人命にかかわるほどの事故は「近年聞いたことがない」といいます。
川の近くに住む女性(65)は、「とにかく一気に水がきたみたいです。この川は、子どもがたくさん遊んでいます。四十年住んでいるけど、こんなことは一度もなかった。信じられない」と話していました。
日本共産党神戸市議団の西下勝議員(灘区選出)によると、この日午後、急に空が曇り、強い雨が短時間に降ったといいます。
同市議は「市民、区民の生活圏の中にあった川で、こんなことになり驚いている。上流の山地でも多くの雨が降って、それが一気に流れ下ってきたのかもしれない。何らかの手だてができないか考えている」と話していました。

