2008年7月10日(木)「しんぶん赤旗」

エビ投資詐欺の容疑者

文科省休眠法人を“活用”

幹部が理事就任 権威装う


 投資会社「ワールドオーシャンファーム」(WОF、破産)のエビ養殖詐欺事件で、同社元会長の黒岩勇容疑者(59)らが、休眠状態だった文部科学省所管の財団法人を事実上のっとり、投資話に“活用”していたことがわかりました。


 この財団法人は、「日本奉仕会」(東京都江東区)。戦後八年たった一九五三年八月、「日本民族に、まことの人間性によって一貫された日本民族本然のうるわしい奉仕精神を体得させる」ために「奉仕活動の推進」を目的に設立され、吉田茂元首相(故人)が初代理事長を務めました。その後、前理事長の経営する会社の経営悪化にともない、数年前から運営資金不足で休眠状態になりました。

 日本奉仕会の登記簿などによると、黒岩容疑者が二〇〇六年六月に「理事」に就任した後、WОFの取締役・営業部長、同・総務部長、黒岩容疑者の長男で、資金管理センター長の三人が次々と理事になりました。

 同年十二月には、WОFの代表取締役も「理事」に就任、日本奉仕会の理事七人中、五人をWОF関係者が占め、黒岩容疑者は理事長に就任しました。

 WОFは昨年一月ごろから、各地で開かれるセミナーなどで、黒岩容疑者と吉田元首相の顔写真を並べて掲載した同会のパンフレットを配布し、文科省所管の伝統ある財団法人であるとアピール。「(WОFは)奉仕会の共済組織に移行する」と言って、投資を募っていました。

 文科省は同年五月、同会に「特定企業の役員が理事を占めてはならない」と改善を指導。同会が提出した〇六年の事業報告書によると、主な事業は「日記をつける運動」ぐらいで、支出はわずか千円だったといいます。

 黒岩容疑者は〇六年六月、厚生労働省所管の財団法人「日本経営者協会」(東京・銀座)の理事にも就任、WОF総務部長も同年十一月、理事に就任しました。いずれも同年十二月に退任していますが、WОFが複数の財団法人に目を付けていたとみられます。

写真

(写真)財団法人「日本奉仕会」の登記簿。理事に黒岩勇容疑者の名前も


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