2008年6月24日(火)「しんぶん赤旗」

くらし優先と市民パワー

矢野市長の4選

東京・狛江


 「本当によかった」「狛江市民の誇り」――二十二日投票の東京都狛江市長選で、現職の矢野ゆたか氏(61)=「豊かな狛江をつくる市民の会」推薦、日本共産党員=は自民、民主系の総がかりの攻撃を打ち破り、四選を果たしました。翌二十三日の早朝、矢野さんが小田急線狛江駅頭に立つと、市民が次々と手を振ったり握手を求めに寄ってきます。「住みよい狛江のまちづくりへ全力投球していきます。変わらぬご支援をお願いいたします」。笑顔で矢野さんは呼びかけました。(狛江市長選取材団)


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(写真)当選翌朝にあいさつに立ち、市民と握手する矢野ゆたか市長=23日、東京都狛江市

 「鼻の差に迫っている」。市議会の自民会派(明政クラブ)の議員は投票日直前にこう語っていました。結果は自民推薦候補に三千七百票差、民主推薦候補の二倍近い一万三千三百九十六票(得票率44・22%)で、矢野市長は三つどもえの激戦を制しました。

 矢野当選が確定した午後十一時前。狛江駅近くの自民候補事務所に陣取っていた支持者たちは、いっせいに携帯電話で連絡をとりはじめました。あちこちでひそひそ話。「やはり矢野は強い。びっくりだね」「共産党は志位さんが来た。民主は菅さんが来たが人気がなかった」「自民党は人材不足だ」。

 翌二十三日、自民陣営の幹部は「(四選は)長いよという声もあったが、(矢野市長は)それを消したのだから」。がっくりした口調で語りました。

「子育て一番」「音楽の街」

さらに前進を

 「長い」という自民、民主陣営の攻撃を吹き飛ばしたのが、くらしを守り、切実な願いにこたえる矢野市長への期待と信頼です。市民との協働で進めてきた三期十二年の実績と、市民派市政をすすめる政策が、市民に共感と支持を広げました。

 選挙にあたり小集会を精力的に開いて市民の要望をくみ上げ、十二年の実績をさらに前進させることを訴え、市民の心をつかみました。

 二十三日朝、演説する矢野市長に手を振って通りかかった女性(47)は「絵手紙の運動にかかわっています。絵手紙運動を理解してくれる矢野市長の当選は本当にうれしい。これからも文化事業に力を入れてほしい」といいます。別の女性(59)は「和太鼓のグループに入っていて、矢野市長のおかげで念願の駅前ライブもできました。今後も『音楽の街―狛江』を広げて根づかせてもらいたい」と話しました。

 選挙結果を報じた一般紙は「矢野市政に、福祉の充実や市民参加の推進などで市民が一定の評価を下した結果」(「読売」二十三日付)、「有権者は3期12年の実績から矢野氏に引き続き市政のかじ取り役を託した」(「毎日」同)と評しました。

 土木偏重の政治をくらし優先に切り替え、就学前の乳幼児医療無料化など「子育て一番の街」、お年寄りや障害を持つ人に優しい街づくり、「絵手紙発祥の地」や「音楽の街狛江」などの施策を進めてきました。

 市内の電器屋店主の男性は選挙結果について「自民とこんなに差が開くのかと思わず驚いた。確かに矢野さんは高齢者のための施策などよくやっていると思う。商店街の活性化に力を入れてほしい」と期待を表明しました。

自公・民主両候補と対決

逆流ストップ

 選挙は、「市民が主人公」の市政に切り替えた矢野市政と、十二年前までの市民不在で利権に走った前市政の与党だった自公、民主両候補の二つの流れの対決となりました。

 相手陣営は「長い」「財政を悪化させた」と攻撃。「市民の会」が反論すると、自民陣営は法定ビラで「流れをかえよう」と打ち出してきました。矢野市政の実績をすべて否定し、「変革のときを迎えている」と矢野市政の転覆、十二年前の古い市政の復活の狙いをあからさまに示したものでした。選挙の争点が、市民がきずいた市民のための市政をさらに前進させることができるかどうかにあることがはっきりしました。

 「古い市政を復活させるな」と切り返し、予算の使い方をくらし優先に切り替えた矢野市政の実績、公約は、市民の心に響き支持を広げました。

 二十三日朝、矢野氏の演説を聞いた会社経営の男性(67)は「私は共産党支持というわけではなく、まったくの無党派だが、前の市政のように市民を侮辱する市政になってはいけない。矢野さんには弱者救済を頑張ってほしい」と期待します。

“草の根”のたたかい

市民弁士次々

 たたかい方も対照的でした。自民・公明系と、片や民主系の二陣営は告示日から連日、国会議員や都議などを総動員。民主系陣営は、矢野市政を「共産市政」などと攻撃する一方、小沢一郎代表の顔写真をビラに載せ、「二大政党」の看板の効果を意識して浸透をはかりました。

 矢野陣営は、のべ四十人以上の市民がみずからの選挙として、「市民弁士」になって矢野氏とともにマイクを握りました。くらしの体験を交え、矢野市政への支持を訴えるつじつじでの訴えは新鮮で、市民の中に共感を広げました。

 二十三日朝、狛江駅から電車で仕事に向かう途中の女性(72)は「他陣営は有名な国会議員を連れてきて矢野市政への攻撃が激しかったけど、狛江市民の良識をうれしく思います。矢野さんには市民本位の市政を続けてほしいです」と声を弾ませました。


 日本共産党員市長の連続4期当選は大阪府羽曳野市長(1973年〜89年)を務めた津田一朗氏(故人)以来2人目。党員の首長は、狛江市を含め4市4町1村で選ばれています。

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