2008年6月21日(土)「しんぶん赤旗」

大学授業料無料広がる

ヘッセン州が徴収やめ 16州中10州に

ドイツ


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 ドイツで大学授業料徴収にストップをかける動きが強まっています。十七日にはヘッセン州議会が大学授業料を無料にもどすことを決定。同日にはハンブルク特別市が一学期(半年)ごとの授業料五百ユーロ(約八万三千五百円)を三百七十五ユーロ(約六万二千円)に減額することを決めました。

 現在、大学授業料(各州とも五百ユーロ)を徴収する州・特別市の数は七、しない州・特別市が九。十七日のヘッセン州の決定で徴収しない州・特別市が秋の新学期から十になります。

 ドイツの大学は二〇〇六年まで、どこでも無料でした。一九六八年に学生たちが「社会的弱者に教育の機会を」のスローガンを掲げて運動。一九七二年から授業料無料化が実現しました。

 ところが、〇五年に連邦憲法裁判所が、学費徴収を全国一律に禁じる法律を無効とし、授業料を徴収するかどうかは十六の州・特別市の判断に任されました。このため、保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)や自由市場に重きを置く自由民主党(FDP)が与党の州は〇六、〇七年に相次いで徴収を開始しました。

 授業料徴収の流れを変えたのが、グローバル化や行政「改革」により広がる不公正感です。十六日に発表された世論調査では四分の三のドイツ人が「不公正な社会だ」と回答し、貧富の格差解消を求めています。

 この世論が〇五年の連邦議会選挙以来、科学的社会主義を一つの源泉とする左翼党が地方でも躍進する力ともなっています。

 十七日に授業料徴収をやめるとしたヘッセン州は一月の選挙で与党のCDU、FDPを野党の社会民主党(SPD)、90年連合・緑の党、左翼党が逆転。授業料減額をしたハンブルク特別市では二月の選挙でCDU単独過半数が崩れ、その後、CDUは90年連合・緑の党と連立を組まざるを得ない状況となりました。議会内の力関係の変化が大学授業料撤回などにつながったものです。

 各州では学生たちが「貧富の格差で教育の機会均等を奪うな」と地道な反対行動を継続し、各州裁判所に大学授業料徴収は憲法違反と裁判に訴えています。統一サービス産業労組(ベルディ)も支援に乗り出しています。(片岡正明)


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