2008年6月17日(火)「しんぶん赤旗」

原爆症

個別審査で12人認定

原告側 新基準改定を要求


 原爆症の認定審査をしている厚生労働省の「原子爆弾被爆者医療分科会」は十六日、四月導入の原爆症認定の新基準で「積極的認定」の範囲に入っていない被爆者の申請審査を初めておこないました。分科会開催は新基準導入後、初めてです。

 この日は二十人の審査をおこない、がんや甲状腺機能障害の十二人を認定。保留四人、審議未了四人で、却下処分はありませんでした。認定者のうち原告は六人です。同日は分科会の下に設置された審査部会も開かれ、五十五件(うち原告二十人)を認定。四月からの認定は三百七十三件(原告百三十五人)となりました。

 新基準は被爆距離や入市時期、がんなど五つの疾病で「線引き」を設け、この範囲内であれば積極的に認定するとしています。甲状腺機能障害は、積極的認定の対象ではありませんが、同省は「大阪、仙台高裁判決などを念頭に置いて判断した」と説明しています。

 分科会では、両高裁判決について同省担当者から報告があり、谷口英樹会長代理は「今後の審査にあたっての判断材料とする」と答えました。

 同日、同省内で記者会見した集団訴訟の全国原告団と弁護団は、甲状腺機能障害の認定は、とりくみの成果だとしながらも、「総合的判断でたくさんの被爆者や原告が認定されると期待したが裏切られた」と指摘。引き続き、基準の再改定と原告全員認定を求めて政治決断を迫ると表明しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp