2008年6月12日(木)「しんぶん赤旗」
ハンセン病基本法成立
元患者ら 「開かれた療養所へ」
ハンセン病問題の全面解決と恒久対策を実現することを目的とし、全国十三カ所の国立ハンセン病療養所を、地域へ開放可能とすることなどを盛り込んだ「ハンセン病問題基本法」が十一日、参院本会議で可決、成立しました。日本共産党は、元患者らと懇談し、要望を政府に届けるなど、今国会での成立に力を尽くしました。
同法の成立を受け、元患者らは同日午後、記者会見。全国ハンセン病療養所入所者協議会の神美知宏さん(74)は「大きな歯車がひとつ回ったという感じ。療養所が市民と頻繁に交流することによって名実ともに社会復帰するという時期がようやく到来した」と語りました。ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会の竪山勲さん(59)も「社会に開かれた療養所へ一歩を踏み出すことができた」と話しました。
現在、療養所には約二千七百人が入所しています。平均年齢は七十九・五歳で、「十年後には五百人から六百人になると予想」(神さん)されます。入所者からは、再び社会から孤立して人生を終えることになるのではないかと、不安の声があがっていました。元患者や支援者らは、療養所を社会に開かれた施設として、維持・発展させたいと、運動を展開。九十一万人を超える賛同署名を集めました。
赤沼康弘弁護士は「(同法の成立で)選択肢が広がった。国自身に療養所を孤立させてはいけないということが義務付けられたと考えている。これまでと状況が違ってきた。大きな展望が開けた」と評価しました。