2008年6月8日(日)「しんぶん赤旗」

ベネズエラの石油優遇供給

中米カリブに広がる

貧困克服・社会発展目指す


 【メキシコ市=島田峰隆】原油価格の著しい高騰が世界経済を混乱させるだけでなく、各国の国民生活に重くのしかかるなか、産油国ベネズエラが中米カリブ海諸国に優遇条件で石油を供給する協力機構「ペトロカリベ」に改めて注目が集まっています。


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 五日には、昨年末に同機構に加盟したホンジュラスに、ベネズエラからの最初の石油タンカーが到着しました。到着地プエルトコルテスでは、セラヤ大統領が出席した記念式典が開かれました。

 同大統領は「わが国は未来に向けてしがらみを打ち破りつつあり、自由と尊厳を獲得できる」と訴えました。政府は、ペトロカリベの枠組みで生まれた資金を貧困層向けの住宅建設や発電事業の強化などに活用する予定です。

 ホンジュラスの野党や石油企業は、米国との関係を損なうという理由でペトロカリベに反対しています。しかし国会は三月、こうした妨害を打ち破って、ベネズエラから石油供給を受けることを承認しました。

 一方、昨年十一月の大統領選挙で中道左派政権が誕生したグアテマラもペトロカリベ加盟を検討しています。同国のロダス外相は五月三十一日、ベネズエラの首都カラカスで同国のマドゥロ外相と会談。ロダス外相は会談後、「中南米カリブ海諸国との統合を進める」と強調し、ペトロカリベ加盟の可能性を協議したことを明らかにしました。

 人口の半数以上が貧困層といわれる同国では、ペトロカリベ加盟によって貧困対策が進むことが期待されています。

 ペトロカリベは、産油国と非産油国が強力して石油高騰に対処するためとしてベネズエラのチャベス大統領の提案で二〇〇五年に発足。石油資源をもたない中米カリブ海諸国にベネズエラが優遇条件で石油を供給し、地域の経済、社会発展をはかり、貧困削減を目指します。石油代金の支払いは生産物や人的サービスでも可能とされます。

 昨年十二月の首脳会議でホンジュラスの加盟が承認され、加盟国は十七カ国になりました。ほとんどが中米カリブ海諸国です。


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