2008年6月7日(土)「しんぶん赤旗」

イラクと秘密交渉 英紙報道

米、基地永続化を計画


 【カイロ=松本眞志】英紙インディペンデントは五日、米国がイラクと秘密裏に交渉を進め、米軍基地の永続化をはかる計画を立てていると報じました。


 同紙によると、ブッシュ米政権はイラクに展開する五十の軍事基地とイラクの制空権を米国の管理下に置き、米軍兵士、民間軍事会社職員の免責特権を引き続き保持することを求めています。ブッシュ氏の退任後も、米大統領選挙の結果にかかわらず、次期大統領がこれを引き継ぐことになると説明しています。

 イラクのマリキ政権は、米軍地位協定の七月末締結をめぐって反対勢力と対立してきました。イスラム教シーア派サドル師派やスンニ派だけでなく、与党のなかでさえも「地位協定がイラクの主権を侵害する」との声が強まっています。これに対して政府側は、「主権侵害の協定は受け入れない」と釈明。米国務省のサッターフィールド顧問も「地位協定は米軍駐留の永続化ではない」と述べています。

 インディペンデント紙は、マリキ首相が個人の心情として地位協定締結に反対しているにもかかわらず、米軍の支援無しに政権が維持できないというジレンマに陥っていると述べています。

 インディペンデント紙の報道は、イラクや米国の政局に影響を与えるものとみられており、イラクでは地位協定のもとでの軍事基地の恒久化や軍事作戦、イラク人の無差別逮捕、米軍関係者の治外法権が、結果的にイラクを不安定化させ、「イラク政府が米国の駒の一つとみられる」ことが懸念されているといいます。



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