2008年5月29日(木)「しんぶん赤旗」

ルームエアコンで火災

発煙や発火事故が多発

大半が室外機の事故 この1年、73件中50件

無料で点検や修理する機種も


 家庭用ルームエアコンによる火災事故が多発しています。エアコンを使い始める季節、火のないところからの発煙・発火事故は心配です。どんな事故が起こっているのか、この1年間の経済産業省が公表している資料からみてみました。(中東 久直)


メーカー名など経産省が公表

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(写真)昨年11月、静岡県で起きた事故で、内部が燃えたエアコン室外機。「原因不明」と判断されています

 この1年間に起きた73件のエアコン事故のうち50件が室外機による事故です(5月13日現在)。経済産業省が「製品起因が疑われる」として、メーカー名、機種・型式を公表している室外機事故が11件。その内容をみると――。

 〈07年12月5日 千葉県 機種・型式/AU―J286AY シャープ 「ボン」という音がして、外に出ると当該機器内部から発煙していた。製品内部からの発煙と思われるが、現在、原因を調査中〉

 〈07年9月30日 東京都 機種・型式/AR36CRS ダイキン工業 ブレーカーが落ちた。数回同じ事を繰り返すとブレーカーが落ちなくなった。そのまま使用し…、室外機から発煙。プリント基板上のトランジスタ周辺部からの発煙であることが確認された〉

 〈07年8月12日 熊本県 機種・型式/CU―H253A 松下電器産業 エアコンの運転中に当該機器周辺から煙が出ているのを確認。制御基板からの発煙であることが確認された〉

「製造不良」や構造に問題も

 室外機・室内機事故でメーカー側が原因を把握して、無料点検・修理をしている機種もあります。

 *ダイキン工業(12機種)

 〈1月18日 東京都 機種・型式/RA257EX ダイキン工業 エアコンを運転中に異音がして確認すると、当該製品から発煙していた。現在、原因を調査中〉

 この機種は、同社が「室外機のプリント基板のはんだ部分に亀裂が生じてスパーク、発煙・発火する事故が、国内において極めてまれに発生」するとして、無料点検・修理をしている対象機種。1995年1月〜98年3月に製造(販売は2002年まで)した12機種の1つです。

 同機種の過去の事故(06年4月11日)の分析をした独立行政法人製品評価技術基盤機構の「事故情報詳細」では、事故原因を「製造不良」としています。

 同社広報グループによれば、「対象機種は、約64万台。使われ方からみて、市場にでている残存数は、少ない。正確な数はわからない。対象機種による事故は04年以降これまで合計13件」といいます。

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(写真)無償での点検修理を知らせる東芝キヤリアの「お詫びとお願い」のチラシ

 *東芝キヤリア(45機種)

 〈07年7月29日 兵庫県 機種・型式/RAS―406LDR 東芝キヤリア エアコンを運転して、約5分後に発煙したため、コンセントを抜いた。事故原因は、室内機のファンモーター電源コネクタ部に電気を通しやすい電解物質が付着し、トラッキング現象が生じた〉

 この機種は、同社が「室内ファンを回転させるためのモーターのリード線接続部分から、発煙発火する可能性がある…。エアコン洗浄液などに含まれる電流を通しやすい成分が、ファンモーターのリード線接続部分に付着することによっておきる」として、無償改修の対象にする機種の1つ。98年9月〜02年1月までに製造販売した家庭用ルームエアコンLDR、YDRシリーズなど45機種約53万台が無償改修の対象になっています。同社広報室は、「改修率は、67・5%(5月14日現在)」だといいます。

 経産省製品安全課は、「同種事故が起きていないか注視している。いま原因調査中のものも多い。焼損が激しくて原因が特定できていない事故もある。長年使用されているエアコンについては、焦げ臭いにおいがする、ブレーカーが頻繁に落ちるなどの状況があれば、使用を中止し、メーカーなどに連絡を、とよびかけている」といいます。

メーカーは原因究明、対策きちんと

 エアコン室外機火災事故に遭った静岡県の被害者の場合、原因調査したメーカーはすぐに、「エアコンが発火の原因とは考えられません」と文書を送ってきました。納得できなかった被害者は、原因究明機関に調査を依頼。そのことを知ったメーカーから「調査結果を持って対応を検討したい」との文書が送られてきました。結局、火災事故の原因は「特定できない」となりましたが、被害者は「メーカーは消費者の訴えを受け止め、事故原因の究明に真しに取り組んでほしいし、必要な対策をとるべきではないか」と話しています。


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