2008年5月12日(月)「しんぶん赤旗」

「後期高齢者医療」加入は選択

65―74歳の障害者

医療費助成制限で10道県が“強制”


 都道府県が独自に実施している六十五―七十四歳の障害者に対する医療費助成について、十道県が、後期高齢者医療制度への加入を助成の条件にしていることが、厚生労働省の調査で分かりました。

 障害者の同制度への加入は、本人が選択する仕組みですが、これらの道県では、加入を事実上、強制するものになっています。別の四県は、同制度の未加入者への助成を制限することにしました。

 六十五―七十四歳の寝たきりなど重度障害者にたいしては、全都道府県で、窓口負担の無料化・軽減などの医療費助成が実施されています。

 しかし、後期高齢者医療制度が実施された四月以降、北海道、青森、山形、茨城、栃木、富山、愛知、山口、徳島、福岡の十道県は、新制度に加入しないと助成の対象から除外されました。福島、石川、広島、愛媛の四県は、新制度に加入しない人の窓口負担の軽減措置を一割までに制限しました。このため、三割負担の人の場合は、二割は自己負担となります。ただ、これらの道県でも市町村によっては、従来どおり助成するところもあります。

 障害者が、新制度に加入すると、窓口負担は一割負担です。同制度に入らないと、六十五―六十九歳は三割負担、七十―七十四歳は二割負担(来年三月末までは一割負担)になります。障害者への医療費助成を継続する自治体では、窓口負担増にはなりません。

 一方、後期高齢者医療制度に加入した場合、保険料がこれまでより高くなる人が出てきます。

 サラリーマンの子どもなどの扶養家族で、これまで保険料負担がなかった人の場合、新制度に加入すると、新たに保険料を強いられます。

 障害を抱えながら働いて家族を扶養している六十五―七十四歳の人の場合も、新制度に移れば、自分以外の家族が国保などに加入して保険料を支払うことになり、負担が増える場合があります。

 さらに後期高齢者医療制度では、受けられる医療が差別される問題もあります。

 障害者に対する「加入強制」は、負担増か医療費助成の打ち切りかの選択を迫るものです。「新制度への加入を医療費助成の条件にするな」という声と運動が各地で広がっています。


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