2008年5月11日(日)「しんぶん赤旗」

ミャンマー サイクロンから1週間

飢え広がり伝染病も

救援物資 受け取り少数


 【ハノイ=井上歩】ミャンマーが大型サイクロンの直撃を受けてから十日で一週間が経過しました。被災地で救援活動をおこなう民間援助団体によると、百五十万人にのぼるともいわれる被災者に救援物資は行き届いてなく、飢えの広がりや伝染病の発生も報告されはじめています。


 米非政府組織(NGO)の国際救援委員会(IRC)によると、同団体の先遣隊は「飲料水の不足は明白で、健康面での大災害、第二の犠牲の波に日増しに近づいている」と報告。七万二千人に食料や水などを配布した国際NGOのセーブ・ザ・チルドレンは、イラワジ川のデルタ地帯に入った救援スタッフが、水が引いた地域で多数の傷んだ遺体を目撃したと報告。「数日間に清潔な水や物資が供給されなければ、数千人が死亡する恐れがある」と指摘しています。

 「ワールド・ビジョン」アジア太平洋地域事務所(バンコク)によると、同団体の先遣隊は「被災者は飢えに直面しており、すでに下痢と衰弱の症状が出ている」と報告。食料と水がヘリコプターから投下されているが、これを知らない人も多く、援助物資を直接受け取っている被災者もごく少数で、「緊急的に食料と医療支援が必要だ」(イースト広報担当)としています。

 国連児童基金(ユニセフ)は、被害が深刻な被災地では子どもの20%が下痢の症状を起こしており、マラリアの感染例もすでに報告されているとしています。

 一方で軍政は、外国の支援組織の入国を認めない姿勢を続け、独力で物資を配給する方針をとっており、これが原因とみられるトラブルも起きました。

 世界食糧計画(WFP)は、九日にヤンゴンに到着した食料三十八トンの荷降ろしを軍政に差し止められたと発表。いったん支援停止を決めましたが撤回し、「軍政と話し合いを続ける」との声明を出しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp