2008年5月6日(火)「しんぶん赤旗」

世界の労働者 2008

全国励ます乗務員

鉄道公社 正社員化求め2年

韓国


 韓国で特急列車「KTX」の女性乗務員のたたかいが二年を超えました。二〇〇六年三月に韓国鉄道公社に正社員化を求めて立ち上がった乗務員は、公社の子会社の非正規労働者で、ほとんどが二十代。子会社からは解雇され、家族と全国鉄道労組の支援で生計を立てる日々が続いています。

 女性乗務員は非正規職労働者のたたかいの象徴的な存在となりました。昨年九月には韓国労働組合総連盟、公社社長、鉄道労組委員長が会合し、乗務員を公社の子会社の正社員として採用し、公社の委託業務として乗務員を続けるとの原則合意に達しました。

 ところが、十二月の大統領選挙で政権交代が決まり、前政権で任命された社長が退陣すると、公社側は態度を一変。合意は事実上、ほごにされました。

 たたかいを続ける乗務員は、当初の三百八十人から八十人に減りました。しかし、今月八日にソウル高裁が、子会社による雇用形態が「偽装請負だった」と認定し、公社が事実上の雇用主だとの判決を出しました。

 鉄道労組KTX乗務支部のオ・ミソン支部長は、現地メディアにこう語っています。

 「組合員は減りましたが、去った人を恨んだり、無責任だと思う気持ちはありません。私たちの意志も弱っていません。たたかいに立ち上がれないでいる多くの女性労働者を勇気づけることができればいいと思います」

 鉄道労組KTX乗務支部は、民間女性団体が選ぶ〇七年の「今年の女性運動賞」を受賞しました。

 労働団体の調査によると、韓国の非正規労働者の割合は、男性が45%、女性は67%。女性の賃金は男性の63%にとどまっています。

 格差是正の施策が求められていますが、全国経済人連合会などの財界団体は、「重責を担う労働者の育児休暇申請に対する拒否権の導入」など、ますます女性が働きにくくなる「規制改革」を政府に求めています。(面川誠)

年金納付延長に反対

サルコジ政権と対決

フランス

写真

(写真)ストを呼びかけた仏国鉄7労組共同の横断幕を掲げるデモ参加者=昨年11月

 「労働の復権」「より稼ぐためにもっと働く」―昨年五月に誕生したサルコジ大統領が進めようとする労働分野における改革のスローガンです。購買力を高めるためには、長時間・長期間働け、ということで、すでに時間外労働をしやすくするための法改正がなされています。

■ストとデモ

 年金の満額給付のための保険料納付期間は、あらゆる部門で一九九三年以前は三十七・五年間でした。同年に民間部門で段階的に四十年間に延長されることが決まり、二〇〇三年には一般公務員も四十年間への延長が決まりました。

 サルコジ政権は、仏国鉄(SNCF)、パリ市交通公団(RATP)や仏電気・ガス公社(EDF・GDF)など、独自の年金制度を持つ部門でも納付期間を一二年までに四十年間に延長する「特別制度年金改革」に乗り出しました。組合側は、これに対し昨年秋大規模なストとデモを実施、交渉は現在も続いています。

 政府は四月二十八日、民間の労使に対し、あらためて一二年までに納付期間を四十一年間に延長する案を示しました。組合の多くはこれに反発していますが、政府側は既定路線だとして熟年労働者雇用促進などと引き換えに、実現させる構えです。

■公務員削減

 サルコジ政権は来年度、約五百二十万人いる公務員のうち二万二千九百人を削減する方針です。そのうち教育分野で、一万千二百人が対象となっています。なかでも、約八千人が削減される予定の中等教育(中学・高校)分野では、今年三月から高校生を中心に、教員削減に反対するデモとストが全国で広がりました。

 サルコジ大統領は四月末のテレビインタビューで、教員削減の断行を明言。労働組合などが十五日に予定している全国ストは大きな規模になるとみられています。(パリ=山田芳進 写真も)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp