2008年5月2日(金)「しんぶん赤旗」

新銀行東京

住民が監査請求


 石原慎太郎東京都知事が、経営危機の新銀行東京に四百億円の追加出資を行ったことに対し、都民十人が一日、「『住民の福祉の増進を図る』という地方自治体の本来の仕事を逸脱する不法なものだ」として、四百億円を回収するとともに、都の出資金を保全することを怠った石原知事の責任を問い、損害を補てんするための措置を講じるよう都監査委員に住民監査請求を行いました。

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(写真)住民監査請求後に記者会見する須山(左から5人目)、西村(右隣)両氏。右端は共産党の吉田信夫都議=1日、東京都庁

追加出資は「不法」

 監査請求をしたのは、東京都生活と健康を守る会連合会の須山利夫会長(73)、東京商工団体連合会の西村冨佐多会長(68)など十氏。同日、都監査事務局に請求書を提出し、都庁で記者会見を行いました。

 監査請求書は、石原知事がトップダウンで設立した新銀行東京が、開業後わずか三年目で都が出資した一千億円を失う事態となったうえ、都民の反対の声を無視して四月三十日に追加出資したことを批判しています。さらに、新銀行東京は「中小企業への資金提供」という設立理念すら失っており、存続させる意義がないと指摘。後期高齢者医療制度や物価上昇が都民生活に痛みを押しつけるなか、都は税金のむだ遣いをやめ、福祉や暮らしを守るために全力をつくすよう求めています。

 会見で須山氏は、公開で行われる陳述の場で十人の意見を主張し、仮に請求が棄却された場合は、住民訴訟を検討したいと語りました。監査請求と会見には日本共産党都議団の吉田信夫幹事長が同席しました。

都民に400億円返せ 記者会見怒り爆発

 「東京都が昨日支出した新銀行東京への四百億円は直ちに返してもらいたい」。東京都に住民監査請求を行った都生連、東商連会長らは記者会見で怒りの声をあげました。

 東京都生活と健康を守る会連合会の須山利夫会長は、四月から実施された後期高齢者に対する差別医療や、石原知事が六十五歳以上の医療費助成制度を廃止したことを批判。「私の試算では、百六十三億円あれば六十五歳以上の医療費と、七十歳以上のシルバーパスを無料にできる。(新銀行に出資した)一千四百億円を都営住宅の新築に回したら、一万五千五百戸が建つ。税金の使い方を変えていただきたい」と語りました。

 東京商工団体連合会(東商連)の西村冨佐多会長は、「営業収入だけでは食べていけないという中小零細業者が増えている。四百億円を銀行に追加出資しても、露と消えるのは時間の問題。ずさんな新銀行経営の大きな責任は、石原知事にある」と語りました。

 三浦岩男東商連事務局長は、新銀行東京の貸し出し利率が年9%や11%と、サラ金なみの高利率で、破たんすることはわかっていたと指摘。「直ちに四百億円の追加出資をひきあげて、(新銀行は)一千億円がなぜ棄損したのかを明らかにすべきだ。石原知事は責任をあいまいにすべきではない」と語りました。


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