2008年4月26日(土)「しんぶん赤旗」
地デジ
3年後アナログ一斉終了
総務省が打ち出す
総務省や放送事業者でつくる全国地上デジタル放送推進協議会は二十五日、地上波テレビがデジタル放送へ完全移行する二〇一一年七月二十四日に、これまでのアナログ放送を全国一斉に終了することを原則にした「計画案」を示しました。同日開かれた総務省の諮問機関・情報通信審議会の検討委員会で報告され、夏までに具体策をまとめるとしています。
アナログ放送の終了手順をめぐっては、昨年夏に出された同審議会の中間答申で、一定の条件が整った地域で「アナログ放送の先行終了」などが提起されていました。終了にあたって「予期し得ない」トラブルが想定されるためでした。
今回の計画案では、「地域間で終了時期に差を設けることはしない」と全国一斉に終了することを明記。今後三年間、放送事業者を中心にした告知キャンペーンの強化などの取り組みを強め、一一年七月までにデジタル受信機の「一億台の普及」と、「五千万世帯への普及」の目標を達成するとしています。
しかし、今年三月末の普及台数は約三千二百万台程度。計画案を審議した検討委員会の委員からは「放送事業者だけの取り組みだけでは進まない」「国民への説明を丁寧にやらないと(地デジ難民が)出てしまう」など、厳しい意見も出されました。
この問題では二十四日、衆院総務委員会で日本共産党の塩川鉄也議員が質問に立ち、「アナログ停波そのものを延期すべきではないか」と政府に強く求めました。
解説
停波の条件整わず国民の大混乱必至
地上波テレビのアナログ放送を全国一斉に終了させる手順を打ち出した理由について、全国地上デジタル放送推進協議会では「視聴者の混乱防止の観点から」と説明しています。
二〇一一年七月の終了期限まであと三年。国民は地デジ対応のテレビに買い替えるか、アナログテレビにチューナーを取り付けるかの対策をとらなければ、テレビが見られなくなってしまいます。しかし、デジタルテレビなど受信機の世帯普及率は三割にとどまっています。
難視聴地域や共同住宅など、全世帯の約三割が利用する共聴アンテナの改修も、費用の面から遅れています。
総務省自身、放送局の中継局整備が間に合わず、一一年七月の時点でデジタル波が届かない世帯が三十万―六十万世帯に上ると試算しています。
問題なのは、地デジへの準備が間に合わないことが事実で示されているのにもかかわらず、総務省や家電業界は、「受信機の普及一億台、五千万世帯への普及」という根拠の崩れた目標に固執していることです。このまま一斉に終了したら、それこそ大混乱になることは目に見えています。
〇六年に一斉停波する予定だったアメリカでも、延期を余儀なくされました。日本政府も根本的にアナログ停波計画を見直し、普及率や買い替えのサイクルに見合った時期に延期すべきです。(佐藤研二)

