2008年4月20日(日)「しんぶん赤旗」

後期高齢者医療制度

医師会10府県反対

「75歳以上への差別だ」

診療報酬算定 20府県「自粛」「慎重に」

本紙調査


 七十五歳以上のすべての高齢者から保険料を取り立て、受けられる医療サービスを抑制する「後期高齢者医療制度」について、都道府県医師会のうち、少なくとも十の府県医師会が「七十五歳以上の高齢者を差別する」(宮崎県医師会)などの理由で反対していることが十九日、本紙の電話調査でわかりました。


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(写真)後期高齢者医療制度につい て出された各医師会の声明 やポスター

 同制度が始まった四月一日時点で、明確に反対していたのは茨城県医師会だけでした。地域医療に携わる医師らでつくる医師会のなかで反対の動きが急速に広がっている背景には、患者・国民のなかでの廃止・撤回を求める世論と運動の高まりがあります。

 本紙調査によると、十九日現在、同制度に「反対」と答えたのは茨城県、千葉県、京都府、大阪府、奈良県、岡山県、広島県、佐賀県、長崎県、宮崎県の各府県医師会。このうち、茨城県医師会は「断固反対で撤回を求めて運動している」と回答し、広島県医師会も「制度の廃止を呼びかける声明文を九日付で出した」としています。

 岡山県医師会は十六日の理事会で、「高齢者に負担を求める制度である」などの理由で反対を決議。宮崎県医師会もホームページで「医療費削減のみを目的とした弱者切り捨ての制度」だと痛烈に批判しています。

 一方、七十五歳以上の高齢者が保険で受けられる医療の内容を抑制するために新設された「後期高齢者診療料」による診療報酬(医療の値段)の算定について、会員の医師に対して「反対」や「算定の自粛」「慎重な対応」を呼びかけている医師会は二十府県医師会にのぼりました。

 このほか、今後の対応について「継続的に理事会で検討中」「他県の動向をみて対応を検討中」とする県医師会もあり、反対の動きはさらに広がりそうです。

 調査は十六―十八日に、四十七都道府県医師会の事務所に電話で取材してまとめました。



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