2008年4月19日(土)「しんぶん赤旗」

文科省汚職

現金授受 答弁10日後

国会で 元部長、企業擁護に終始


 文部科学省の施設整備工事をめぐる汚職事件で、贈賄側から同省元文教施設企画部長の大島寛容疑者(59)に現金五十万円が渡されたのは、同容疑者が国会で談合否定、談合企業擁護の答弁を繰り返した十日ほど後のことだったことがわかりました。現金は施設整備情報の入手だけでなく、国会答弁への謝礼の意味もあったのではないか、とみられています。


 贈賄容疑で警視庁捜査二課に逮捕された五洋建設の100%子会社「ペンタビルダーズ」顧問の倉重裕一容疑者(58)が、大島容疑者に五十万円を渡したとされるのは、二〇〇六年四月上旬のこと。大島容疑者の答弁は、同年三月二十三日の参院予算委員会で、日本共産党の井上哲士議員に対するものです。

 当時、防衛施設庁発注の空調設備工事をめぐる官製談合事件で、同庁技術審議官が一月末に逮捕されるなど大問題になっていました。三月八日には、新東京国際空港公団発注の電機関連工事をめぐる官製談合事件で、元公団幹部職員二人に有罪判決が言い渡されていました。

 井上氏は、参院予算委員会で、文科省発注の管工事(機械設備や給排水工事)をめぐっても、同省ОBでつくる「櫟(くぬぎ)の会」(その後解散)という組織が存在し、〇一年―〇四年に発注された十九件のうち、十六件を同会会員企業が受注していた事実をとりあげ、官製談合の疑いを指摘したのです。

 このとき、答弁に立ったのが、文教施設企画部長だった大島容疑者。「いずれの工事においても、透明性の高い入札制度を行っており、必ずしも指摘のような点は当たらない」と談合疑惑を否定しました。

 井上氏が、平均落札率(予定価格に対する落札額の割合)が95・8%で、随意契約五件すべてを「櫟の会」会員企業が落札していることを指摘、重ねて「会員企業が独占的な入札をしているのでは」「しっかり調査をするべきだ」とただしたのにもこうです。

 「基本的にいわゆる公募の形で入札が行われており、そのような指摘は当たらない」「いずれの工事においても、それぞれ適切に施工がなされている」。大島容疑者は、OBが天下りした企業側擁護の姿勢に終始しました。

 警視庁捜査二課は、さる四月七日、文科省汚職の関連先として東京都新宿区や豊島区の配管工事会社三社を家宅捜索しましたが、三社はいずれも「櫟の会」の会員企業でした。

 文科省は、省内に設置した調査チームで、職員と業者との癒着がなかったかどうかを過去にさかのぼって検証しています。文部省出身の自民党柳川覚治元参院議員(故人)の「私設秘書」という肩書を利用した倉重容疑者の活動の全容とともに、大島容疑者がペンタ社のほかにも便宜を図っていなかったか徹底的に解明する必要があります。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp