2008年4月13日(日)「しんぶん赤旗」

15日年金天引き 後期高齢者医療

不満 怒り 日々拡大

窓口に「誰が決めた」 医師会ボイコット 新聞もTVも


 「なんでこんな制度にしたんだ」「年寄り差別だ」。後期高齢者医療制度への怨嗟(えんさ)の声が日々拡大しています。保険証が届かない混乱に続き、15日には年金からの保険料天引きも開始予定。怒りが一段と高まるのは必至です。1日の発足から、わずか10日余りで、制度の根幹を揺るがす事態となっています。


写真

撤回求め署名よびかけ
兵庫県社会保障推進協議会は事似日、神戸市内で後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める署名に取り組み(写真)、県保険医協会の池内春樹理事長が「少ない年金から死ぬまで保険料をとり、払えなければ保険証を取り上げる制度だ」と訴えました。

 市町村窓口などへ住民からの電話は鳴りやみません。問い合わせだけでなく「誰が決めたのか」という声も相次いでいます。しかし、厚生労働省は、“年金天引きの制度をつくったのは国、などという対応をしないよう”自治体に求める手引を作成。現場に責任を押し付ける姿勢です。

 約千三百万人が、一時期に新制度に移行する大規模改変であるにもかかわらず、政府の対応はあまりにも「場当たり的」。保険証が六万三千件以上も届かない異常事態が起きて、初めて対策に乗り出す始末です。自治体からは「現場を知らない制度設計だ」と批判が上がっています。

 茨城県医師会や青森市医師会などは、四月から導入された「後期高齢者診療料」の届け出を行わないことを会員に呼びかけました。同診療料が、高齢者にお金をかけない治療につながる「包括払い」になっているからです。医師会が国の制度のボイコットを呼びかけるのは異例です。

 「これでは長寿を喜べない」(「徳島」四日付)、「見切り発車の印象強めた」(「西日本」十一日付)。地方紙をはじめ多くの新聞は、新制度を批判する社説を掲載しました。週刊誌も「『長寿という地獄』絶対許さない!」(『週刊文春』十七日号)、「『長寿医療制度』は史上最悪の国家犯罪だ」(『サンデー毎日』二十日号)と特集を組み、テレビの報道番組やワイドショーも問題点を詳しく紹介しています。

「5分の1消える」

 全国で約八百万人が、十五日に振り込まれる二・三月分の年金から、四・五月分の保険料を引かれます。

 天引きされる保険料額を知らせる通知が九日から発送され、受け取った人から不安が広がっています。

 東京都内の女性(81)の場合、十二日に届いた通知で、月額約四万円の年金から、医療と介護保険の合計で七千五百円、五分の一近くが保険料として引かれることを知りました。夫(80)の保険料は、これまでの国民健康保険税より年間で約四万円も高くなります。「わずかな年金からも、こんなに引かれてしまうのか」と怒りがおさまりません。

 しかも政府は、介護保険料、医療保険料に加えて、来年十月から、住民税まで年金から天引きすることをねらっています。現在、参院で法案(地方税法改定案)が審議されています。“手間をかけずに確実に徴収できる”とばかりに、年金からの取り立てを拡大しようとするものです。


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