2008年3月3日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

地元でも朝鮮人強制連行

高校生が衝撃


 戦前、朝鮮人強制連行・強制労働の犠牲となり、戦後60年以上も日本に残されたままの遺骨。北海道の赤平市と室蘭市の4体の遺骨が、市民の手で韓国の遺族のもとへ戻りました。この活動には高校生をはじめ、多くの若者が参加しました。(田代正則)


遺骨返還

地図

 赤平市で犠牲になったのは、北炭赤間鉱で働かされていた趙龍文(チョウ・ヨンムン)さん=当時(39)。2005年に赤平高校郷土史研究会の高校生たちが、宝性寺で骨箱を発見しました。

 「教科書でしか知らなかった戦争の跡が地元にもあると知り、衝撃をうけました」という赤平高校2年生の男性(17)は、卒業生から調査を受け継いでいます。

 まだ身元の確認ができていない遺骨を何体も見てきました。頭蓋(ずがい)骨の陥没、ひびが朝鮮人徴用者への酷使や虐待をしのばせます。男性は「当時の日本は本当にひどいことをしたんだな。二度と同じことを繰り返したくない」と思いました。

 身元と遺族の所在が判明した趙さんの遺族は06年に来日し遺骨と対面しましたが、政府からの正式な返還を望み、遺骨を持ち帰りませんでした。

 政府が遺骨返還の責任を明確にしないもとで、一刻も早く遺族に届けたいと、「趙龍文さんの遺骨を返還する赤平市民の会」が結成されました。

 2月16日の追悼法要には80人以上が集まりました。半数以上が若者でした。赤平高校郷土史研究会のメンバーや、日本や韓国の若者が集う東アジア共同ワークショップの札幌や朝鮮人学校の高校生たちです。

 高校生たちは、法要に参加して受け止めた思いを話し合いました。

 朝鮮半島の伝統衣装チマチョゴリを着た女性が涙を流しました。祖父が強制連行で日本に来た在日三世(17)=高校2年生=でした。

 「良心的な日本の人たちの努力で返還できるようになってよかった。でもまだ故郷に戻れない人たちがいると思うと…」。言葉に詰まりました。

 札幌の高校生は「強制連行の事実を受け止め、早く遺族に届けたい」と話しました。朝鮮人学校の男性は「遺骨を考えている人が、こんなに大勢いると知って、うれしかった」とのべました。

 「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」共同代表の殿平善彦さん=深川市一乗寺住職=は「その当時、まだ生まれていなかった若いみなさんがアジアの和解のため歴史を積み上げる作業を受け継いでほしい」と高校生たちによびかけました。

 韓国に遺骨を届ける遺骨捧持団の結団式が2月24日、札幌市の西本願寺札幌別院で開かれ、暴風雪をついて、200人以上が集まりました。赤平市で涙を流した黄さんも、赤平高校の生徒に誘われて参加しました。

 「日本の高校生は、戦争の事実を知らない人が多いけど、一緒に議論することで、私たちの思いを分かってもらえました。これからどうしていくかも話し合えました。これからも、こういう機会に参加したい」と女性は笑顔を見せました。

希望は…

 遺骨返還の中心となった北海道フォーラムは、札幌別院で強制連行犠牲者の101体の遺骨が見つかったことをきっかけに、朝鮮半島、中国の犠牲者遺骨を発掘し、遺族へ返還しようと結成されました。

 日本人、在日朝鮮・韓国人、華僑、仏教者、キリスト教者ら民族や宗教の違いを超えて取り組みをすすめています。

 遺骨発掘には、東アジア共同ワークショップの学生、高校生ら多くの若者が参加してきました。

 赤平市の趙さんの遺骨は、室蘭市光昭寺で発見された日本製鉄輪西製作所(現・新日鉄室蘭)に徴用され米軍艦砲射撃によって命を落とした鄭英得(チョン・ヨンドク)さん=当時(16)、李廷基(イ・ジョンギ)さん=同(15)、具然錫(ク・ヨンソック)さん=同(17)の遺骨とともに遺族のもとへ帰りました。

 27日、ソウル奉恩寺で返還法要が行われ、28日に韓国国立墓地「望郷の丘」に納骨されました。

 3年前に室蘭にきたとき、遺族たちは骨箱を抱き、「アイゴー、オッパー(ああ、お兄さん)」と声を上げて泣き崩れました。「食事はもらえたのか。殴られはしなかったか。新日鉄は事実を教えてほしい」

 韓国の室蘭犠牲者遺族は政府と企業が責任をもって返還することを望みましたが、新日鉄室蘭は「戦前の日本製鉄とは別会社」という態度をとり、当時の状況を説明しようとしませんでした。

 「強制連行犠牲者の遺骨返還を実現する室蘭市民の会」は23日、遺骨返還を前に鄭さんの弟、鄭相得(チョン・サンドク)さん(61)夫妻を招きました。

 兄の遺骨を新しい骨箱に移し終え、相得さんは「82歳の姉が健在のうちに遺骨が戻り、うれしい」と市民の会に感謝しました。政府に対しては「まだたくさんの遺骨があり、一刻も早く返すべきなのに、何もすすんでいません」と怒りをにじませました。

 亡くなった兄と同世代の多くの若者が遺骨返還に参加したことを知った相得さん。こう期待を寄せました。「古い世代の過ちを、新しい世代がただしていくところに希望があります」


朝鮮人強制連行・強制労働

 徴兵で足りなくなった労働力の代替として、日本の植民地支配下の朝鮮半島から日本国内に連れてこられ、危険で過酷な労働を強いられました。日本全体で100万人を超えるといわれ、北海道の実態調査(99年)では、道内で約14万5千人と報告されています。


お悩みHunter

複数の上司が仕事を指示。板ばさみに…

  複数の上司から仕事の指示をされ、困っています。上司同士で打ち合わせをしないため、よく予定がダブったり、すでに予定が入っていても別の上司から「こちらの仕事をしてくれ」と言われます。(27歳男性、会社員、千葉県)

同じ悩みの同僚いるはず

  それは本当に困りますね。自分で仕事を選べる立場でしたら断ることもできるでしょうが、上司からの指示でしたら難しい場合もあると思います。

 そうならないためにも、本来でしたら上司があなたの仕事内容を把握してその上で指示を出すべきなのです。しかし、職場内でコミュニケーションがとれてないのでしたらうまくいかないのも当然です。

 これまであなたは仕事を断らずに、なんとかやりくりして複数の仕事をこなしてきたのだと思います。しかし仕事を抱え込みすぎて自分のキャパシティーを超えてしまったらやりきれなくなって、結局は周りに迷惑をかけてしまうことになります。

 たとえ上司が無理難題を押し付けていたとしても引き受けた以上はきちんと最後までやらなくてはいけないと思います。ですから、もし指示を受けたときにできないと判断したらはっきりと断るべきです。おそらく上司たちもあなたが困っていることに気付いていないのではないでしょうか。

 また、あなたの同僚にも同じように困っている人はいませんか。同僚とも相談してみてください。自分ひとりだけではなかなか職場全体は変わっていきません。

 職場全体でコミュニケーションがとれるようになるといいですね。仕事はチームワークですから。


第41代日本ウエルター級チャンピオン 小林 秀一さん

 東京工業大学卒。家業の豆腐屋を継ぎながらボクシングでプロデビュー。99年新人王。03年第41代日本ウエルター級チャンピオン。


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