2008年2月26日(火)「しんぶん赤旗」

キプロスに左派大統領

南北再統合交渉前進掲げる


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 地中海の島国、キプロス共和国で二十四日、大統領選の決選投票がおこなわれ、キプロス共産党を前身とする勤労人民進歩党(AKEL)のクリストフィアス書記長が右派のカスリデス欧州議会議員を破り、当選しました。最終得票率は、同書記長が53・36%、カスリデス氏が46・64%。

 同国では、二〇〇三年二月に就任したパパドプロス大統領のもと、北側の「北キプロス・トルコ共和国」(トルコのみ承認)との再統合交渉が停滞していました。クリストフィアス氏は、国連の仲介による交渉を再開させると主張。同氏の当選で交渉が再び軌道に乗ると期待されています。

 同氏は、欧州連合二十七カ国中で唯一の共産党系大統領となる点でも注目されています。

 クリストフィアス氏は、当選確定後、首都ニコシアで演説。「トルコ系の同胞と政治指導者らに友情の手を差し伸べる。共通の大義である国の平和に向けてともに努力しよう」と述べました。

 一方、「北キプロス・トルコ共和国」の報道官は二十四日、タラト大統領がクリストフィアス氏に祝賀の電話をかけ、できるだけ早い時期に会談することで合意したことを明らかにしました。

 AKELは、国連決議にもとづくキプロス統一とギリシャ・トルコ両民族の共存、貧困撲滅などを掲げると同時に、国内の英軍基地撤去を要求。九〇年代以降の総選挙では一貫して30%を超える得票を維持しています。

 同党の前身キプロス共産党は、一九二六年創立。英国占領下で一時非合法化された後、一九四一年に合法政党として同党が創立されました。

 現在は、欧州の共産党・左翼党で構成される欧州左翼党にオブザーバーとして参加。二〇〇五年十一月に開かれたAKEL第二十回大会には日本共産党の代表が出席しました。同党からは日本共産党の大会にメッセージが届けられています。


 キプロス共和国 一九六〇年に英国から独立。六三年、北部トルコ系住民の権利を制限する憲法修正をきっかけに内戦になり、七四年にギリシャ、トルコ両国が軍事介入。トルコは北部約37%を占領、八三年に「北キプロス・トルコ共和国」の独立を宣言。二〇〇四年四月に全島で住民投票が実施された国連提示の再統合案を、北部は承認したものの、ギリシャ系住民が中心の南部が否決し、再統合交渉は中断しました。この結果、南部だけが欧州連合(EU)に加盟しています。


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