2008年2月25日(月)「しんぶん赤旗」
有期雇用の育休
15万人中たった147人
厚労省調査
取得後違法の雇い止めも 抜本改正が必要
パートや派遣など有期雇用労働者にも育児休業を認めた改正育児・介護休業法の施行(二〇〇五年)から、この春で三年がたちます。施行状況をふまえて、現在、厚労省「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」で、今後の育児休業制度等の仕事と家庭の両立支援策について検討中です。
研究会ではこれまで、国内外の両立支援策についての調査をすすめ、第五回会合(一月二十一日)では、有期雇用労働者の育児休業の問題で、関係者らからヒヤリングをおこなっています。
有期雇用労働者への適用拡大のあり方は、前回の改正で大きな焦点となりました。適用条件が、一年以上雇用され、かつ子どもが一歳になって以降まで雇用継続が見込まれるなど、きびしく規定されました。これでは多くの人がとりにくいと指摘され、国会審議でも日本共産党をはじめ改善を求める意見が相次いだために、付則に「施行後適当な時期」の検討が盛り込まれた経過があります。
ヒアリングからは、有期雇用労働者の取得の少なさ、正社員との格差、休業後の雇い止めなど、改正時に危ぐされたような実態があきらかになりました。
正社員と格差
研究会で報告された厚労省の委託調査結果によると、調査対象は小売業三社、登録型労働者派遣業二社で、有期契約労働者十六万人余のうち約十五万人が女性です。そのなかで法改正後の育児休業取得者は百四十七人にとどまります。
一方、正社員では、小売業三社の計約八千人の女性のうち、同時期の取得者は三百人以上です。年齢層、未婚既婚など条件が違うため単純な比較はできませんが、取得状況には大きな開きがあることがわかります。社内規定でも、正社員には法律を超えた長期の休業や短時間勤務などを認めるようになっていますが、有期雇用労働者は適用されないなどの格差がありました。
また約七百五十の人材派遣会社が加入する日本人材派遣協会からは、派遣労働者の育児休業の取得は少なく、就労を休止する人が多い実態が報告されました。業界としては制度の積極的な周知もしておらず、取得した人も自分でインターネットなどの情報を集めたり、口コミで知った例が多いといいます。そして取得できても、休業後に同様の派遣先がある場合は少なく、「結果的に雇い止めをすることが多い」と報告されています。
指導おろそか
休業の取得による雇い止めは育児・介護休業法で不利益取り扱いとして禁止されています。にもかかわらずこうした事態がおきているのです。法の周知や業界への指導が徹底されていないのは問題です。また、そもそも登録型派遣というきわめて不安定な雇用形態自体が、休業の取得と職場復帰の大きな障害となっていることを示しています。
研究会は、今後、有期雇用労働者の休業のあり方の検討をはじめ、育児休業の再取得、短時間勤務、子どもの看護休暇などの論点について検討し、夏ごろまでに検討結果を取りまとめる予定です。誰もが安心して取得できる制度にむけた検討が求められています。
日本共産党は、六カ月以上の雇用実績のあるすべての有期雇用労働者に休業を認めること、分割取得を可能にするなどをふくむ抜本的な改正を求めています。
(日本共産党女性委員会事務局・米沢玲子)

