2008年2月19日(火)「しんぶん赤旗」

京都市長選 中村和雄氏 大健闘

951票差 “オール与党”追い詰めた


 「相乗り批判に大苦戦」(読売新聞十八日付)、「自・公・民体制 岐路に」「共産手応え大善戦(京都新聞、同)――。十七日投・開票の京都市長選挙を各紙はこう報じました。京都市長選挙は、幅広い市民でつくる「いま正義を・京都市政を刷新する会」(「市政刷新の会」)の中村和雄氏(53)=無新、日本共産党推薦、弁護士=が十五万七千五百二十一票(得票率37・02%)を獲得して、「オール与党」四党(自民・公明、民主・社民府連)が推した門川大作氏(57)=前市教育長=を九百五十一票差、得票率で0・2ポイント差まで追い詰めました。


共感呼んだ政策・論戦

 全十一行政区のうち、中村氏は京都市北、右京、南の三区で第一位となり、左京区でも門川氏を約三千票上回りました。

 マスコミの出口調査によると、中村候補は「無党派層から最も多い39・3%を集め」、自民党や民主党の支持者からもそれぞれ12%、23%の支持を得ています。さらに、「二十代からは最も多い38・6%の票を集め」ました(以上「京都」)。

 開票当日、右京区で中村氏トップが報じられると、門川事務所内は「えー」「考えられへん」とどよめきに包まれ、泣き崩れる女性も。当選はしたものの、同陣営幹部からは「九百何票ですか、ここまで迫っているとは…」(谷垣禎一・自民政調会長、府連会長)、「三党と連合京都、経済界も巻き込んで、これだけの差しかないというのは、京都は全国で一番共産党が強い地域ですので」(田中セツ子・自民府連幹事長)などのことばが聞かれました。

 市長選では、選挙期間を通して、中村候補が論戦をリードしました。同和奨学金の返済肩代わりなど同和事業の特別扱い、京都の景観を破壊する市内高速道路計画の推進、三度値上げされて高すぎる国保料や教育格差の拡大が主な争点に浮上しました。

 中村候補は、現市政十二年間での負担増・福祉と教育の切り捨てが三百五十八億円にもなることを示し、同和行政の終結、高速道路計画の中止をきっぱり主張。国保料一世帯一万円引き下げ、最低賃金として「時給1000円条例」の提案は、ともに大きな共感を市民に広げました。

 中村さんが掲げたマニフェストと、水俣病京都訴訟を原点に弱い立場の市民の権利を守るために奔走してきた二十三年間の弁護士活動の実績と人柄に共感が広がりました。「刷新の会」には立場の違いを超えてこれまでにない広範な市民が参加しました。

 元京都弁護士会会長の出口治男さん(63)は「政治には疎い人間ですが、今回だけは中村さんを応援したい」と同「会」代表を務めました。弁護士や宗教者、開業医、労働組合などがそれぞれの分野で、相次いで「市政刷新の会」を結成しました。

 京都市幹部OBや現市長を応援してきた元校長らが現市政批判の勇気ある声をあげ、自民党後援会役員、「人生で初めて選挙応援する」という医師らが、公然と中村氏支持を表明して立ち上がったのも大きな特徴でした。

 広範な市民とともにたたかった選挙でした。

「相乗り」に市民反発

 「これほどの接戦になったのは、『与党相乗り』に市民が反発したからだ」(「京都」社説)。「相乗り門川氏辛勝」(「朝日」)。「読売」の出口調査では68%の人が相乗りを「好ましくない」と答えました。自民支持者で53%、民主支持者で80%にのぼります。

 市民の批判の高まりに、「相乗り・オール与党」陣営は、「中央と地方とは違う。だれもがこの人だ、と決めた。対立を持ち込むのは良くない」(民主党・福山哲郎府連会長)などと言い訳に終始しました。

 中村氏の応援に駆けつけた日本共産党の志位和夫委員長は、「『オール与党』の勢力が選挙のときだけ二つに割れて、形だけでも『にわか対決』をとることがあります。それを京都ではなぜできないか。京都の民主勢力、市民の力が強いからです」と指摘しました。

 さらに、選挙戦のなかで門川候補が市教育長時代、創価学会の正式の会議に何回も出席して、その意見を市の教員研修に採用していた事実も、当事者の発言で明らかになりました。(六日の門川陣営の政談演説会)

 門川氏は当選したとはいえ、「オール与党」四党が昨年の参院比例で得た約四十五万票から十五万余票にまで大幅に減らしました。有効投票の37%、有権者比13・8%、七人の一人の支持しか得られませんでした。

 大善戦・大健闘した中村さんは、大勢が判明後の会見で、「選挙戦を通じて寄せられた市民の苦しみ、痛み、何とかしてほしいという思いを受け止め、これからも市政を監視してがんばっていきたい」と語りました。


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