2008年2月19日(火)「しんぶん赤旗」

大分優遇進出

キヤノン、知事に“献金”

パーティー発起人も


 大分県に新工場を建設したキヤノンが、広瀬勝貞知事のパーティー券を購入し、日本経団連会長でもある同社の御手洗冨士夫会長がパーティーの発起人を務めていたことが十八日、本紙の調べでわかりました。新工場建設をめぐっては、誘致した県による異例の優遇施策や建設受注の不透明な契約などの問題が噴出。誘致企業と知事の密接な関係が問われます。

 問題のパーティーは、東京都選管届け出の政治団体「広瀬勝貞君を励ます集い」が二〇〇五年十月三十一日、東京・港区内で開いたもの。〇七年の知事選を前にした事実上の選挙資金集めとみられます。一口二万円のパーティー券を三千四十八枚販売し、六千九十六万円の収入をあげています。

 パーティー券を購入した企業・個人の大半は、政治資金収支報告書に名前が記載されない二十万円以下となっています。政治団体の代表は、キヤノンのパーティー券購入について「政治資金規正法の範囲内(非公表の二十万円以下)」で協力を受けたことを本紙に認めました。キヤノンも「会社として購入した」(同社広報部)としています。

 広瀬氏は経済産業省の事務次官を経て、〇三年の知事選で初当選。現在二期目。「広瀬勝貞君を励ます集い」は、広瀬知事の資金管理団体「勝友会21」(総務省届け出)に〇五年十一月に一千万円、〇六年六月には四千二百三十二万円を寄付しています。

 御手洗氏は、パーティー発起人の一人。同氏は、集いの冒頭であいさつにも立っています。政治団体代表は、御手洗氏があいさつした経緯について「広瀬氏が昔から知っているからではないか」としています。

 政治団体代表は、券購入への協力を働きかけたのは「大分県進出企業が中心ではない」といいます。しかし、同パーティーを報じた全国紙の記事(「朝日」〇六年十月三十一日付)では、「(団体代表は)大分県に進出している多くの大手企業に、協力いただいた」と語っています。団体は〇七年五月に解散しています。

 日本共産党大分県委員会と堤栄三県議が、広瀬知事にキヤノン関連のパーティー券購入を含めた献金の有無をただしたのにたいし、同知事は一月二十四日、「広瀬勝貞に対する政治献金、物的・人的支援などはない」と文書回答していました。


 キヤノンの大分県進出 2003年に大分キヤノンが、05年には大分キヤノンマテリアルが大分県に新工場建設を表明。マテリアル工場の用地造成には68億5000万円がかかりましたが、県は補助金交付要綱を変えることで、同社は50億円で購入できました。差額は税金での穴埋め。造成は同社の要請で、鹿島建設がすべて随意契約で受注しました。


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